フランス映画ファンなら!
今回のフレーズは、映画のワンシーンに出てきてもおかしくありません。
フランス映画がお好きなら、知らず知らずのうちに、耳にされているかもしれませんね。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Je suis encore toute décoiffée…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第8章の始めにあります。
第8章では、王子さまとバラの花との会話が続きます。
このフレーズは第8章の会話部分の始めにある、王子さまとバラの花との出会いのシーンです。
「je suis ~」
「je suis ~」の意味は「わたし(僕・オレ)は~です」。
「je」は1人称代名詞単数、「suis」は英語の be動詞に相当する、être動詞の1人称単数の活用形です。
「encore」
「encore」は、「まだ」「相変わらず」「また」「もっと」などを意味します。
日本語の外来語の「アンコール」は、このうちの「もっと」の意味で使われますが、フランス語の「encore」は、そのほかの意味で使われることが多いです。
「toute」
「toute」は、「まったく」「非常に」「とても」を意味する「tout」の女性形です。
「décoiffée」
「décoiffée」は、「髪が乱れている」を意味する「décoiffé」の女性形です。
ただし、この単語はたくさんある派生語のうちの1つなので、このまま覚えるのは効率が悪いです。
「décoiffé」の関連単語
よく使われる関連単語をまとめますね。
coiffure | 髪形 |
coiffer | 髪を整える・髪を結う |
décoiffer | 髪をほどく |
coiffé-coiffée | 髪が整った・髪を結った |
décoiffé-décoiffée | 髪が乱れている |
coiffeur-coiffeurse | 美容師・理髪師 |
「-」でつないでいる単語は、左が男性形・右が女性形です。
すべて「髪」に関係する単語ですが、「dé」がつくことで、反対語になっていることがわかると思います。
フレーズの背景は?
「Je suis encore toute décoiffée…」というフレーズは、「Je suis décoiffée」が元になっているので、言いたいのは「私は髪が乱れています」ということです。
このフレーズは、王子さまの星にただ1本だけあるバラの花のセリフです。
バラの花は「目が覚めたばかり」で、「身支度が整っていない失礼を詫びる」という趣旨で、このフレーズを言っています。
ここでの「encore」
この「髪が乱れている」は、「身支度が整っていない」ということの象徴なので、ここでの「encore」は、日本語の「アンコール」ではなく、「まだ」を意味します。
ここでの「toute」
「tout」にはいろいろな使い方があり、文法で言うと、形容詞・代名詞などもあるのですが、このフレーズでは後ろに「décoiffée」があるので、副詞です。
フランスあるある
今回のフレーズ「Je suis encore toute décoiffée…」は、作者の妻がモデルと言われる、バラの花のセリフです。
このバラの花はかなりわがままで、王子さまは振り回されてしまいます。
作者の妻の性格はわかりませんが、「Je suis encore toute décoiffée…」と言う女性は少なからずいて、私自身も友人からこのフレーズを聞いた経験があります。
本当に人によるので、もちろん違うタイプの人もたくさんいますが、毎朝ご主人がベッドまで朝食を持って来てくれるという、映画のワンシーンさながらの生活を送っている人も実在するのは確かですね。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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