意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第47回目は、「ナイーブ」です。
日本語の「ナイーブ」
日本語の「ナイーブ」はフランス語由来の外来語です。
ただし発音は英語に近く、語源がフランス語であることは間違いありませんが、英語を経由して日本語の外来語になったと考えられます。
「ナイーブ」は、「ナイーブな人」のように使われて、心理的に繊細で、傷つきやすい・影響を受けやすいといった意味になります。
主に日常会話の中で感情面に限定して使い、やや配慮や注意を含む評価をする言葉です。
- ナイーブ①「心理的に繊細・傷つきやすい」
- ナイーブ②「影響を受けやすい」
フランス語の「naïf」
フランス語の「naïf」は、作られていない・飾られていない・自然な状態を表す言葉です。
人に対してだけでなく、考えや作品などにも使えます。
肯定・否定の両方の意味になり得ます。
具体的には「純粋・無垢」というポジティブ寄り、「世間知らず・甘い」というややネガティブ表現、「素朴・人工的でない」という中立から肯定表現、「子どもっぽい・単純・洗練されていない」という軽い否定などです。
このように肯定・否定さまざまになるのは、文脈に大きく左右されるからです。
なお、「naïf」という発音が基本の男性形ですが、女性形は「naïve」になります。
英語や日本語に入ったのは、この女性形の「naïve」だと考えられます。
フランス語の「naïf」の使い方をまとめると、
- naïf①「純粋・無垢」
- naïf②「世間知らず・甘い」
- naïf③「素朴・人工的でない」
- naïf④「子どもっぽい・単純・洗練されていない」
ということになります。
いろいろな「naïf」
「naïf」の例文を挙げておきます。
- Il est naïf.
(彼は純粋だ)
→ naïf①「純粋・無垢」
- C’est une idée naïve.
(それは甘い考えだ)
→ naïf②「世間知らず・甘い」
- C’est un style naïf.
(素朴な作風だ)
→ naïf③「素朴・人工的でない」
- Une réaction naïve.
(子どもっぽい反応)
→ naïf④「子どもっぽい・単純・洗練されていない」
などがあります。
例文の注意点など
例文の1番始めにある「Il est naïf.(彼は純粋だ)」が、日常会話での「naïf」のもっとも基本的な使い方です。
「純粋」の意味するところは、悪意や計算がなくてそのまま信じるというもので、日本語の「素直」や「疑うことを知らない」という言い方に近いものがあります。
また、3番目の「C’est un style naïf.(素朴な作風だ)」は、美術や文学の世界でよく使われます。
ちなみに、あえて何度も登場させていますが、前述通り基本形である男性形の「naïf」と、女性形の「naïve」でかなり発音が変わるので、注意してください。
言い換えは無理!
なお、全体的に日本語の「ナイーブ」とはかなり異なった印象ですが、それはもちろんフランス語から英語、そしてさらには日本語になった際に変化したものです。
ただしこの「naïf」については、他の外来語によくあるような意味のズレというよりは、かなり変化している印象があります。
日本語では外来語を取り入れるときに、直接言うと角が立つ評価を和らげる役目を持たせることがしばしば行われたようで、今回の「naïf」は、そのまさに代表例だと思われます。
人の性質に対して、「神経質」や「弱い」などと言うよりは「ナイーブ」という言葉を使った方がソフトな感じがしますし、こちら側が配慮をしなければという注意喚起もできたりします。
でもこれは、フランス語の「naïf」には全くない意味なので、日本語の「ナイーブ」を「naïf」で言い換えることは無理ですね!

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