新宿の雑踏のなかで
わたしはフランス在住ですが、先日、数年ぶりに日本に行ってきました。
以前は日本でフランス語を耳にすることなど、ほとんどありませんでしたが、今回はあちこちで聞こえてきました。
なかでも印象的だったのが、新宿の雑踏のなかで耳にした会話のいくつかでした。
文字通り生きた会話なので、状況とともにご紹介します。
耳に飛び込んできたフランス語
2026年1月14日配信の新宿で耳にしたフランス語①は、喫茶店の中で耳にした親子の会話でした。
次は、喫茶店を出て駅へ向かう通路の中の、文字通り雑踏の中にいた時、突然フランス語が耳に飛び込んできました。
- Laissez passer les gens !
(通してあげて!)
- Oui, mais…
(うん、でも…)
切羽詰まった会話
これを聞いたのは、平日の夕方でした。
満員電車ほどではないものの、人と人との距離がかなり近いぐらいは混雑した雑踏の中にいた時です。
東京生まれで神奈川育ちのわたしには、とりわけストレスを感じるほどの状況ではありません。
でも、このフランス語の叫び声は、かなり切羽詰まっている様子でした。
わたしから見えたのは、「Laissez passer les gens !(通してあげて!)」と言った若い男性のみ。
「Oui, mais…(うん、でも…)」と答えたのも、おそらくは同年代の男性でしたが、あまり身動きが取れなかったので、その姿は見えずじまいでした。
2人だけの会話ではない!
ところで、この会話を聞いた時、わたしはとっさに「フランス人の団体ツアーかも!」と思い、あたりを見まわしたくなりました。
残念ながら、前述通りあまり身動きが取れなかったので、確認はできずじまい。
でも、なぜ「団体ツアー」を疑ったのかがわかりますか?
それは、男性が「Laissez passer les gens !(通してあげて!)」と叫んだからです。
このフレーズは複数もしくは、ていねいな形の命令形になっています。
もしもこの男性が、「Oui, mais…(うん、でも…)」と答えた、同年代のもう1人と2人で旅行していたなら、別の表現になっていたはずです。
- Laisses passer les gens !
(通してあげて!)
細かいことではありますが、相手が仲の良い1人なら「Laisses passer ~」になります。
でもわたしが聞いたのは「Laissez passer ~」という言い方だったので、一瞬、ツアーガイドさんのように聞こえたのでした。
ただし男性の雰囲気からはおそらく、3人以上のグループで旅行していただけだと思います。
相手は1人の可能性も!
なお「Laissez passer les gens !」という言い方は、必ずしも相手が複数とは限りません。
この言い方は、ていねいな形の命令形の可能性もあるからです。
相手が目上の人1人であっても、同じように「Laissez passer les gens !」と言うことになります。
その場合、和訳は「通してあげてください!」ということになりますが、フランス語だと仲の良い複数相手なのか、目上の人1人が相手なのかは、このフレーズだけで判断することはできません。
2人称代名詞「tu」と「vous」の関係と同様であるということです。
生まれて初めての経験?
もっとも、「Oui, mais…(うん、でも…)」という答えの雰囲気として、おそらくは3~4人ぐらいのグループだったように感じました。
この程度の混雑など東京では毎日のことですが、フランスではパリでさえ、ストライキがあったとか、事故で電車が止まったなどの特別なことがない限りは、あまり巻き込まれることがありません。
この会話をした男性たちは、もしかしたら生まれて初めて遭遇した混雑で、パニックになっていたのかもしれませんね。


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