意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第41回目は、「オブジェ」です。
日本語の「オブジェ」
日本語の「オブジェ」はフランス語由来の外来語です。
「オブジェ」は、「金属のオブジェ」「動物のオブジェを飾る」のように使われて、美術作品としての「立体造形物」や「インテリアとして置く装飾品」を意味します。
かなり限定的な使い方をされる言葉で、芸術的・デザイン的なものを指します。
- オブジェ「立体造形物(美術作品)・装飾品」
フランス語の「objet」
日本語の「オブジェ」が限定的に使われるのに対し、フランス語の「objet」は、かなり広い意味で使われる言葉です。
まず「objet」の基本的な意味は、一般的な「モノ・物体」です。
これはつまり、日本語の「もの」に相当するので、この意味だけでもかなり広範囲です。
そしてまた、抽象的な「対象・目的」という意味もあります。
例えば、話題の対象や何かの目的など、目に見えないものを指す言葉でもあります。
なお、文脈によっては日本語の「オブジェ」同様に、芸術的な造形物などを指すこともありますが、これはどちらかというと特殊な使い方です。
「ただのモノ」という意味の方がよほど強いので、断り書きが付くことがほとんどです。
フランス語の「objet」の使い方をまとめると、
- objet①「モノ・物体」
- objet②「(抽象的な)対象・目的」
- objet③「芸術的な造形物など(特殊な用法)」
ということになります。
いろいろな「objet」
「objet」の例文を挙げておきます。
- J’ai perdu un objet dans le train.
(電車でものをなくした)
→ objet①「モノ・物体」
- Le sujet est l’objet de la discussion.
(そのテーマが議論の対象だ)
→ objet②「(抽象的な)対象・目的」
- C’est un objet d’art.
(芸術作品だ)
→ objet③「芸術的な造形物など(特殊な用法)」
などがあります。
高級品ではない
最初の例文「J’ai perdu un objet dans le train.(電車でものをなくした)」は、日本語の「オブジェ」に影響されれば、かなり高価なものをなくしてしまったような印象を受けます。
でもフランス語の「objet」はただのモノなので、日常品の傘や眼鏡などをなくしたというイメージです。
「objet perdu(忘れもの)」という言い方がされることからも、わかると思います。
目に見えない対象も!
次の例文「Le sujet est l’objet de la discussion.(そのテーマが議論の対象だ)」に至っては、モノですらありません。
抽象的な対象や目的に対しても使われるということが、日本語の「オブジェ」との一番の違いではないでしょうか?
断りが必要
そして最後の例文「C’est un objet d’art.(芸術作品だ)」は日本語の「オブジェ」に近い言い方ですが、「objet」に「d’art(芸術の)」という断り書きがついています。
何度も繰り返しますが、フランス語の「objet」はただのモノなので、わざわざ芸術であるということを言う必要があるのです。
フランス語由来の外来語には芸術関係の単語が多いという特徴があります。
「オブジェ」の場合は、本来はごく普通の単語を、芸術用語として取り入れたために意味が狭まったという例ですね!


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