意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第27回目は、「コンクール」です。
日本語の「コンクール」
日本語の「コンクール」はフランス語由来の外来語です。
「コンクール」と言えば、合唱コンクール・ピアノコンクール・読書感想文コンクールなど、「芸術分野での作品や技能の優劣を競う催し」という意味で使われます。
- コンクール「芸術分野での作品や技能の優劣を競う催し」
フランス語の「concours」
フランス語の「concours」にも「芸術分野での作品や技能の優劣を競う催し」という意味がありますが、芸術分野だけに限られているわけではなく、もっと広く「競技会・コンテスト」として使われます。
そして「concours」にはさらに、特に国家試験や公務員試験などの「公的な試験」という意味や「協力・助力・援助」という意味もあります。
ただし「協力・助力・援助」に関しては、どちらかというと書き言葉で、比ゆ的な使い方です。
フランス語の「concours」の使い方をまとめると、
- concours①「競技会・コンテスト」
- concours②「公的な試験」
- concours③「協力・助力・援助」
ということになります。
日本語の「コンクール」は、concours①「競技会・コンテスト」の一部に当たります。
いろいろな「concours」
「concours」の例文を挙げておきます。
- Elle a gagné le premier prix au concours de piano.
(彼女はピアノコンクールで一等賞を取った)
→ concours①「競技会・コンテスト」
- Je prépare le concours pour devenir professeur.
(教員試験への準備をしている)
→ concours②「公的な試験」
- Festival organisé avec le concours de la municipalité
(市の後援で開催されたフェスティバル)
→ concours③「協力・助力・援助」
などがあります。
勘違いした「concours」
フランス語の「concours」は、やはり日本語の「コンクール」よりも幅広く使われます。
フランスに来て間もない頃に「concours de pêche(釣り大会)」や「concours agricole(農業博覧会での品評会)」などを見ていたので、芸術だけではないことはわかっていました。
それでも、わたしの頭の中での「コンクール」は、どうしても「競技会」のイメージから抜け出せませんでした。
そのため、「concours de la police(警察採用試験)」などと聞くと、「フランスでは警察官になるのは大変なんだな~、コンクールに出なきゃいけないんだ!」と思ったり、「concours d’entrée(入学試験)」を受けると言われると、「かなりレベルの高い学校に行くんだな~!」と思ったりする始末でした。
外来語は便利なようで、勘違いの元かもしれません!
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