意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第13回目は、「バゲット」です。
日本語の「バゲット」
日本語で「バゲット」と言うと、「細長い棒状のパンの名前」という意味に限定されます。
甘味がなく、パリパリとした皮が特徴の、代表的なフランスパンですね。
- バゲット「細長い棒状のパンの名前」
フランス語の「baguette」
フランスで日本で言うところの「バゲット」と同じものを買いたいなら、やはりこの言葉の由来となった「baguette」という単語を使います。
ただしフランス語の「baguette」はパンの名前以外にも、さまざまな場面で使われる言葉です。
「baguette」の本来の意味は「小さな棒」であり、これがパンの名前になったのは、細長い棒状だったからという理由にすぎません。
フランス語の「baguette」の使い方をまとめると、
- baguette「細長い棒状のモノ」
ということになります。
いろいろな「baguette」
「baguette」の使用例を挙げておきます。
- J’achète une baguette à la boulangerie.
(パン屋でバゲットを買う)
→ 日本語の「バゲット」と同じ意味
- La fée agite sa baguette magique.
(妖精が魔法の杖を振る)
→ baguette magique「魔法の杖」
- Le chef d’orchestre lève sa baguette.
(指揮者が指揮棒を上げる)
→ baguette de chef d’orchestre「指揮棒」
- Je mange avec des baguettes.
(わたしは箸で食べる)
→ baguettes(複数)「箸」
などがあります。
ちなみに、最後のフレーズの「baguettes」は複数ですが、複数になる場合がすべて「箸」になるというわけではありません。
ドラムのスティックなどにも、複数形の「baguettes」を使います。
意外な変化で覚えよう!
ところで、前回2025年8月18日の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語⑫タブレットという配信でもご紹介しましたが、フランス語の名詞には「-ette」という形がつくことがあります。
「-ette」を語尾につけることで、元の単語を「小さくしたもの」や「かわいらしいもの」というニュアンスが加わるのです。
この中でご紹介したのは、「table(テーブル)」に「-ette」がついて「タブレット」の由来となった「tablette」という言葉が生まれ、その本来の意味は「小さな(ちょっとした)テーブル」だったという内容でした。
今回扱った「baguette」も、言葉の変遷としては「bague」という単語に「-ette」をつけたものです。
ただし、その変遷の様子が少々複雑だったため、現代フランス語の「bague」に「棒」や「棒状のモノ」という意味はありません。
現在のフランス語で「bague」と言えば、なんと「指輪」や「輪っか状のモノ」という意味に変わっています。
言葉は、時には滑稽なぐらいに変わります。
印象に残りやすい変化を知って、ぜひ語彙を増やしてみてくださいね!
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