日本語ネイティブ泣かせ?
動詞「savoir」と「connaître」は、和訳するとどちらも「知る」「知っている」なのですが、実は意味に明確な違いがあります。
でも和訳が同じなので、使い分けに苦労してしまいます。
さらに、あえて使い分けない場合もあるので、日本語ネイティブにとっては混乱のもと。
できるだけスッキリできるように、まとめました。
「savoir」
前述通り、「savoir」と「connaître」はどちらも「知る」「知っている」ですが、「savoir」の場合は、知識・事実・方法・情報を「知っている」という意味になります。
あえて訳し分けるなら、「savoir」は「~ということを知っている」「~の仕方を知っている」ということです。
例文としては、
- Je sais qu’il est parti.
(彼が出発したことを知っている〈=情報として〉) - Tu sais conduire ?
(車の運転できる?〈=運転方法を知っている〉) - Elle sait où il habite.
(彼女は彼がどこに住んでいるか知っている〈=情報として〉)
基本的に「学んだ」「調べた」「知識として持っている」ことに使うのが「savoir」で、日本語で言う「~って知ってる?」「~する方法知ってる?」という使い方に近い表現です。
「connaître」
一方、「connaître」の場合は、人・場所・物・経験を「知っている」「見聞きしたことがある」と言う意味になります。
こちらもあえて訳し分けるなら、「connaître」は「(面識・馴染み・体験など)を知っている」と言う意味になります。
例文としては、
- Je connais Marie.
(マリーを知っている〈=面識がある〉) - Tu connais ce restaurant ?
(このレストラン行ったことある?〈=経験がある〉) - Il connaît bien le Japon.
(彼は日本をよく知っている〈=滞在経験などがある〉) - Elle connaît la musique de Chopin.
(彼女はショパンの音楽をよく知っている〈=演奏体験などがある〉)
基本的に「経験・接触・鑑賞・面識」など、直接的に知っている感覚で使うのが「connaître」で、日本語で言う「行ったことある?」「読んだことある?」「よく知ってる」などの使い方に近い表現です。
構文に頼ってみる
「う〜ん、それでもよくわからない」「頭では理解できるけど、感覚が伴わない」と言うあなたへ。
普段は「構文」という単語にアレルギーのある方でも、「savoir」と「connaître」の違いに関しては、便利に感じるかもしれません。
ごく若干の例外はあるものの、構文、つまり後に続くべき単語の種類を知ることによって、「savoir」を使うべきなのか、「connaître」を使うべきなのかを判断できるからです。
その形とは、
- savoir + 文(que, si, comment など)
- savoir + 動詞の原形
- connaître + 名詞(人、場所、物、作品など)
というものです。
それぞれの例文としては、
- Je sais qu’elle est là.
(彼女がそこにいると知っている←情報) - Je sais parler français.
(フランス語が話せる←知識) - Je connais ce quartier.
(この地域を知っている←場所) - Je connais Paul.
(ポールを知っている←人)
1は「que (qu’)」の後が文になっているので「savoir」、2は動詞の原形が続いているので「savoir」、3と4は両方とも名詞が続いているので「connaître」が使われていると考えることができます。
「savoir」の後に名詞が続くことが、ごく稀に例外としてあることはあるのですが、「-(ハイフン)」でつながれる名詞句であったり、慣用句ぐらいなので、この構文さえ頭に入っていれば、あまり迷うことはありません。
あえて使い分けない場合とは?
そして冒頭で触れた、「savoir」と「connaître」を「あえて使い分けない場合」とは、前回の配信「【フランス語のフレーズ】何でも「Je sais pas.」で済ますフランス人!?」で触れた、否定表現による返答です。
その中でご紹介している通り、否定表現で答えるなら、質問文に「savoir」があろうが、「connaître」があろうがお構いなく、両方とも「savoir」で答えるのです。
例えば先ほどの例文にあった質問文のうち、「connaître」を使った質問文であっても、否定形なら「savoir」で答えることがあるのです。
- Tu connais ce restaurant ?
(このレストラン行ったことある?〈=経験がある〉)
この質問に肯定文で答えるなら、
- Oui, je le connais !
(うん、知ってるよ!)
などになるのですが、否定文だと、
- Je (ne) sais pas.
(知らない)
になってしまうのです。
なぜそうなるのかは、前回の配信と重複するのでここでは触れませんが、「savoir」と「connaître」を厳密に使い分けていた割には、単に否定表現になっただけで「savoir」一択になってしまうので、日本語ネイティブとしては、何だか理不尽なような気も…。
もちろん、慣れるしかないのですが、不思議ですよね!
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