ネイティブたちもお手上げ?
今回のフレーズにはケタ数が大きい数字が登場しています。
でもフランス語の数字の場合、ケタ数が大きくても扱いやすいものがある一方、日常的に使うのにやっかいなものがあります。
フランス人ネイティブでさえあきれてしまう、やっかいな規則をご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ouf !」と「Ça fait donc cinq cent un millions」の場所と背景を確認しておきます。
この2つのフレーズは、第13章の挿絵から2行目にあるビジネスマンのセリフです。
2つ目の方は、長いフレーズの一部です。
フレーズの全体は、「Ça fait donc cinq cent un millions six cent vingt-deux mille sept cent trente et un.」です。
「Ouf !」
「Ouf 」は間投詞で、「やれやれ」や「ふう」など、特に意味はありませんが、ひと仕事終えた時や、いやな思いをした後などに、思わず口をついて出るため息とともに発せられる言葉です。
「Ça fait donc cinq cent un millions」
「Ça」は代名詞「cela」の話し言葉、「fait」は動詞「faire」の活用形(現在形)ですが、「ça fait +(数字)」という形で「(合計が)~になる」という意味になります。
「donc」は「それゆえ」「したがって」という意味です。
「cinq cent un millions」は数字です。
「cinq」は「5」、「cent」は「百」、「un」は「1」、「millions」は「百万」を意味する「million」の複数形です。
ここでは「(合計が)~になる」という意味の「ça fait +(数字)」の中の合計額部分を表しています。
前述通り、この部分は長いフレーズの一部分で、この後にも数字が続くのですが、「Ça fait donc cinq cent un millions」の部分だけだと「したがって501,000,000になる」という意味になります。
ありがとう「million」!
語順通りではありませんが、まずは「millions」から。
前述通り、これは「1,000,000(百万)」を意味する「million」の複数形です。
ここでは、「cinq cent un(501)」が前についているので、複数形が使われています。
単数つまり「un million(百万)」なら「s」がつかず、複数の例えば「二百万」なら「s」がついて「deux millions」になります。
普通名詞と同じ規則的な変化なので、「million(百万)」はありがたい単位です。
やれやれな「cent」
けれど、なぜこんな当たり前のことがありがたいのかと言うと、「cent(百)」が異常だからです。
「100」「200」という切りのいい数なら、特に注意するほどのことはありません。
単数の「百」の場合は日本語同様、「un(1)」はつけずに「cent」、複数でも切りのいい数である「二百」の場合は「s」をつけて「deux cents」になるので、ここまでは「複数には s をつける」という規則のままです。
でも、今回のフレーズにある「cinq cent un(501)」をよく見てみると、間違いなく複数なのに「s」のない「cent」になっています。
その理由は、複数形になるべきである「五百」の後に「un(1)」という、他の数字が続いているせいで、単数形になってしまうのです。
複数なのに単数形を使う「百」
こうした「cent(百)」のやっかいな規則については、すでにこのブログ・ポッドキャストのシリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】の230回で扱っています。
復習を兼ねて、複数形になるべきである「五百」などの後に、他の数字が続いて、「百」が単数になる場合の例を、再度ご紹介します。
- 203: deux cent trois
- 512: cinq cent douze
- 940: neuf cent quarante
やっかいな「百」
「cent(百)」の複雑さは、まだこれで終わりではありません。
今回のフレーズでは、複数形になるべきである「五百」の後に「un(1)」という、他の数字が続くことで、単数の「cent」になりましたが、この中の「un(1)」を取ってしまうと、「cinq cents millions(五億)」となり、「s」がつくのです。
「cinq cent un millions(五億百万)」と「cinq cents millions(五億)」の違いは「un」のあるなしですが、ここで複数形になる原因は「un」ではありません。
「millions(百万)」が「百」のすぐ後ろに来ることが原因です。
なぜそうなるの?
その理由は、「un(1)」「deux(2)」「quarante(40)」などの数字は形容詞ですが、「million(百万)」「milliard(十億)」「millier(約千)」といった単語は名詞だから。
形容詞である数字がすぐ後に来るなら複数でも「s」がつかないけれど、名詞がすぐ後に来れば「s」がつく、という論理です。
もうここまで来ると、理由を知るよりも、そのまま覚えた方がラクかもしれません。
フランス人でも間違えるレベル
今回の内容は、ネイティブのフランス人でも知らない(覚えていない?)人が多数いるほどなので、間違いなく中級レベル以上だと思います。
あなたがフランス語がイヤになってしまわれないことを、お祈りするばかりです。
ただしこの話しをフランス人ネイティブにすると、先ほどご紹介した「Ouf (やれやれ)!」というため息交じりの間投詞とともに、「C’est ça le français !(それがフランス語なんだよね!)」という、あきらめムードの反応が返ってくる可能性大です。
ネイティブでも、フランス語には苦労しているんですよね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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