409 ありがたい百万とやれやれな百 Ouf ! Ça fait donc cinq cent un millions

その他(王子さま)

ネイティブたちもお手上げ?

今回のフレーズにはケタ数が大きい数字が登場しています。

でもフランス語の数字の場合、ケタ数が大きくても扱いやすいものがある一方、日常的に使うのにやっかいなものがあります。

フランス人ネイティブでさえあきれてしまう、やっかいな規則をご紹介します。

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ouf !」と「Ça fait donc cinq cent un millions」の場所と背景を確認しておきます。 

この2つのフレーズは、第13章の挿絵から2行目にあるビジネスマンのセリフです。 

2つ目の方は、長いフレーズの一部です。

フレーズの全体は、「Ça fait donc cinq cent un millions six cent vingt-deux mille sept cent trente et un.」です。

「Ouf !」

「Ouf 」は間投詞で、「やれやれ」や「ふう」など、特に意味はありませんが、ひと仕事終えた時や、いやな思いをした後などに、思わず口をついて出るため息とともに発せられる言葉です。

「Ça fait donc cinq cent un millions」

「Ça」は代名詞「cela」の話し言葉、「fait」は動詞「faire」の活用形(現在形)ですが、「ça fait +(数字)」という形で「(合計が)~になる」という意味になります。

「donc」は「それゆえ」「したがって」という意味です。

 「cinq cent un millions」は数字です。

 「cinq」は「5」、「cent」は「百」、「un」は「1」、「millions」は「百万」を意味する「million」の複数形です。

ここでは「(合計が)~になる」という意味の「ça fait +(数字)」の中の合計額部分を表しています。

前述通り、この部分は長いフレーズの一部分で、この後にも数字が続くのですが、「Ça fait donc cinq cent un millions」の部分だけだと「したがって501,000,000になる」という意味になります。

ありがとう「million」! 

語順通りではありませんが、まずは「millions」から。

前述通り、これは「1,000,000(百万)」を意味する「million」の複数形です。 

ここでは、「cinq cent un(501)」が前についているので、複数形が使われています。 

単数つまり「un million(百万)」なら「s」がつかず、複数の例えば「二百万」なら「s」がついて「deux millions」になります。

普通名詞と同じ規則的な変化なので、「million(百万)」はありがたい単位です。

やれやれな「cent」 

けれど、なぜこんな当たり前のことがありがたいのかと言うと、「cent(百)」が異常だからです。

「100」「200」という切りのいい数なら、特に注意するほどのことはありません。

単数の「百」の場合は日本語同様、「un(1)」はつけずに「cent」、複数でも切りのいい数である「二百」の場合は「s」をつけて「deux cents」になるので、ここまでは「複数には s をつける」という規則のままです。

でも、今回のフレーズにある「cinq cent un(501)」をよく見てみると、間違いなく複数なのに「s」のない「cent」になっています。

その理由は、複数形になるべきである「五百」の後に「un(1)」という、他の数字が続いているせいで、単数形になってしまうのです。 

複数なのに単数形を使う「百」

こうした「cent(百)」のやっかいな規則については、すでにこのブログ・ポッドキャストのシリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】の230回で扱っています。

復習を兼ねて、複数形になるべきである「五百」などの後に、他の数字が続いて、「百」が単数になる場合の例を、再度ご紹介します。

  • 203: deux cent trois 
  • 512: cinq cent douze 
  • 940: neuf cent quarante

やっかいな「百」

「cent(百)」の複雑さは、まだこれで終わりではありません。 

今回のフレーズでは、複数形になるべきである「五百」の後に「un(1)」という、他の数字が続くことで、単数の「cent」になりましたが、この中の「un(1)」を取ってしまうと、「cinq cents millions(五億)」となり、「s」がつくのです。 

「cinq cent un millions(五億百万)」と「cinq cents millions(五億)」の違いは「un」のあるなしですが、ここで複数形になる原因は「un」ではありません。 

「millions(百万)」が「百」のすぐ後ろに来ることが原因です。 

なぜそうなるの? 

その理由は、「un(1)」「deux(2)」「quarante(40)」などの数字は形容詞ですが、「million(百万)」「milliard(十億)」「millier(約千)」といった単語は名詞だから。

形容詞である数字がすぐ後に来るなら複数でも「s」がつかないけれど、名詞がすぐ後に来れば「s」がつく、という論理です。 

もうここまで来ると、理由を知るよりも、そのまま覚えた方がラクかもしれません。 

フランス人でも間違えるレベル 

今回の内容は、ネイティブのフランス人でも知らない(覚えていない?)人が多数いるほどなので、間違いなく中級レベル以上だと思います。 

あなたがフランス語がイヤになってしまわれないことを、お祈りするばかりです。 

ただしこの話しをフランス人ネイティブにすると、先ほどご紹介した「Ouf (やれやれ)!」というため息交じりの間投詞とともに、「C’est ça le français !(それがフランス語なんだよね!)」という、あきらめムードの反応が返ってくる可能性大です。

ネイティブでも、フランス語には苦労しているんですよね!

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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