若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第36回目「kiné」です。
「kiné」とは?
「kiné」とは、正式名称だと「masseur-kinésithérapeute」の略語です。
この「masseur-kinésithérapeute」の「masseur」は「マッサージ師」という意味です。
「kinésithérapeute」は「kinésis(運動)」+「thérapie(療法)」が語源です。
あまりに長いので、「kiné」と呼ばれるのが普通で、顧客や年長者などが相手でも、まったく失礼にならない略語です。
「kiné」は医師ではありませんが、国家資格を持つ理学療法士です。
運動療法・マッサージ・リハビリのすべてを担当します。
なお、他の多くの医療関係の略語は、医師・診療科の両方の意味になるものがほとんどですが、「kiné」に関しては人、つまり理学療法士のことを指しています。
ただしあまりにも身近な存在だからか、リハビリ行為自体を「kiné」と呼ぶことも多いです。
使用例
「kiné」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。
- Je vais chez le kiné.
(理学療法士のところに通っている)
- J’ai des séances de kiné.
(リハビリのセッションがある)
1つ目のフレーズの「chez le kiné」は「理学療法士のところ」、つまり人としての理学療法士を指しています。
2つ目のフレーズの「kiné」は、リハビリそのものになっています。
なお、ここでは便宜上「リハビリ」としていますが、「kiné」のセッションがあるという言い方では、そこで運動療法をするのか、マッサージをするのか、もしくはリハビリをするのかは、はっきりしません。
「kiné」に行くには?
「kiné」は、言ってみれば「身体のメンテナンスのなんでも屋さん」です。
必要に応じて、マッサージもすれば、器具を使った運動療法や、さまざまなリハビリの指導もしてくれます。
中には、大きな施設でリハビリ用のプールのあるところも!
わたしは以前、ストレスで背中が痛くなってしまい、プールのある「kiné」に通ったことがあります。
「kiné」に通うには、まずかかりつけ医に診てもらい、処方せんを出してもらいます。
この「処方せんがある」という状態が、前述の2つ目のフレーズ「J’ai des séances de kiné.(リハビリのセッションがある)」ということです。
わたしの「kiné」体験
でも、実際に行ってみて、ビックリ!
当時は子どもたちもまだ小さかったので、学校のある日中に行ったところ、そこはおじいちゃん&おばあちゃんの社交場でした!
かなり悪目立ちしてしまいましたが、背中の痛みには耐えられず、処方せんの出た分はしっかり通いました。
後で考えてみると、一定以上の年齢で腰の痛みのない人は珍しいですし、かかりつけのお医者さんに言ってリハビリの処方せんを出してもらえば、ほとんど無料で通えるんですよね!
おじいちゃん&おばあちゃんたちに温かく迎えられ、「どこが痛いの?」「ここに来るとラクになるよね〜」などと声をかけてもらいながら、わたしのセッションは終了しました。
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