A=Bではない
日本語とフランス語の関係に限ったことではありませんが、日本語では1つの同じ単語を使うのに、フランス語では2つ以上の異なる単語になる場合があります。
その例の1つが「会社」という単語です。
フランス語には「会社」を意味する単語がいくつかありますが、その使い分けの例を見てみます。
スラングではない「会社」
ブログ・ポッドキャストで2025年3月7日に配信した【フランス語のフレーズ】日常会話で使う略語㉓boîteでは、「会社」「職場」という意味で使われる「boîte」という言葉をご紹介しました。
この「boîte」が「会社」などの意味になる場合は軽いスラングなので、相手や状況を選びます。
でも今回扱う2種類の「会社」は、どんな場面でも使える単語です。
タイトル通り、毎朝通う「会社」と所属する「会社」に当たるフランス語は異なるので、例文とともに見ていきます。
毎朝通う「会社」
毎朝通う「会社」の場合は、「bureau」という単語を使うことが多いです。
例えば
- Je vais au bureau tous les matins à 9 heures.
(毎朝9時に会社へ行く)
などがあります。
「bureau」は「事務所」「オフィス」「職場」という物理的な場所を指す男性名詞です。
会社全体ではなく、その中のオフィスや職場環境を表します。
組織よりも具体的な場所のニュアンスが強いです。
もっとも、日本語では「会社」でも、職種によっては「事務所」「オフィス」ではなく、「工房」や「作業場」ということもあるでしょう。
その場合は「atelier」を使います。
- Je vais à l’atelier tous les matins à 9 heures.
(毎朝9時に会社へ行く)
所属する「会社」
所属する「会社」なら、使える単語はいくつかあります。
その中で「企業」「会社」を指すもっとも一般的で幅広い言葉は「entreprise」という女性名詞です。
例えば
- Il travaille dans une grande entreprise.
(彼は大企業で働いている)
などがあります。
「entreprise」と言うと、特にビジネスや経済活動を中心にした会社を指します。
規模の大小を問わずに、商業活動をしている組織全般に使えます。
また、フォーマルな文章やビジネスシーンでひんぱんに使われている単語です。
女性名詞なので、冠詞や形容詞に注意する必要はありますが、どんな相手でも、どんな場面でも無難に使えて便利です。
使い方を逆にできない理由
日本語だとどちらも「会社」になる「bureau」と「entreprise」ですが、なぜ使い方を逆にできないのでしょうか?
まず「bureau」は物理的な「事務所」や「オフィス」を指すため、「所属している会社」という意味では使われません。
例えば「mon bureau」と言うと、「わたしの事務所」という具体的な場所(部屋など)、もしくは「わたしの机」を指します。
とても所属できる「会社」ではないわけです。
そして「entreprise」が「会社へ行く」という意味で使われないのは、この言葉が「会社そのもの(組織)」に焦点に当てているので、物理的な場所ではなく、所属や関係性を意識する場面で使われるからです。
「entreprise」を使って「会社へ行く」と言ってしまうと、物理的な「会社の建物」へではなく、「会社という組織」に行くイメージになってしまい、不自然なのです。
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