349 第3の「si」は「C’est si bon セシボン」の si! Les fleurs sont si contradictoires !

その他(王子さま)

古いシャンソンで覚えよう!

今回のフレーズには「si」が含まれていますが、「もしも」という意味ではありません。 

古いシャンソンに「C’est si bon セシボン」という曲があるのですが、これと同じ使い方です。 

例文とともにご紹介します。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Les fleurs sont si contradictoires !」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第8章最後の段落にある、王子さまのセリフです。 

「les fleurs sont si contradictoires」

「les」は定冠詞複数形、「fleurs」は「花」という意味の女性名詞「fleur」の複数形です。 

「sont」は「être」の活用形(現在形)、「si」は「これほど」「とても」という意味、「contradictoires」は「矛盾した」「対立した」という意味の「contradictoire」の複数形です。 

背景を見てみると

遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪のバラの花を思っています。 

ある朝花開いたバラと出会い、王子さまはすぐにその美しさに夢中になりました。 

ただし、わがままで見栄っ張りなバラに振り回されてしまった王子さまは、大好きなはずのバラを疑うようになり、苦しみます。 

今回のフレーズは、バラへの対応の仕方を間違えたと後悔している王子さまが、語り手の男性を相手に「こうすべきだった」と振り返っている部分です。 

4種類の「si」

「si」については、このシリーズの第193回で4種類の「si」まとめとしてすでに扱っています。 

詳細はそちらを参照していただきたいのですが、ここでも簡単に復習します。 

まず、第1の「si」は「もしも」として条件を表す場面でよく使われます。 

第2の「si」は「気に入ったかどうかを言ってください」などの「~かどうか」です。 

第3は否定表現を伴なった使い方で「~ほど~ではない」というもの。 

第4は否定表現への肯定の返事に使う場合で、日本語とは逆になる言い方です。 

第3の否定の「si」

今回のフレーズの「si」は、このうちの第3の使い方に近いものです。 

なので、もう少し詳しく振り返ります。 

第193回でご紹介したのは、「ne ~ pas si +(形容詞/副詞)+ que ~(~ほど~ではない)」という形でした。 

「~ほど~ではない」という否定の比較になっていて、比較の対象は「que」の後に示されます。 

例としては、 

  • Elle n’est pas si belle qu’on le dit. 
    (彼女は人が言うほど美しくはない) 
  • Je ne suis pas si fort que mon frère. 
    (私は兄ほど強くはない) 

などがあります。 

第3の肯定の「si」

今回のフレーズでの「si」は「これほど」「とても」という意味で、肯定文で使われています。 

「si +(形容詞/副詞)」という形になるのが特徴です。 

例えば、 

  • Il est si intelligent ! 
    (彼はそれほど頭が良い) 
  • Je suis si fatigué aujourd’hui. 
    (今日はとても疲れている) 
  • C’est si bon de te revoir. 
    (また会えてとても嬉しい) 

などです。 

今回のフレーズでは?

なお第3の肯定の「si」とは言っても、フレーズが肯定文であるだけで、意味は否定的になることもあります。 

先ほどの例の「Je suis si fatigué aujourd’hui. (今日はとても疲れている)」もそうでしたが、今回のフレーズ「Les fleurs sont si contradictoires !」も、否定的な意味です。 

「花がこれほど矛盾するなんて!」という、王子さまの悲痛の叫びです。 

C’est si bon セシボン

ただし、第3の肯定の「si」は「これほど」「とても」という意味なので、強いプラスイメージにもなる使い方です。 

その代表例とも言えるのが、古いシャンソン「C’est si bon(セシボン)」です。 

冒頭の部分をご紹介します。 

C’est si bon 

De partir n’importe où 

Bras dessus bras dessous 

En chantant des chansons 

(和訳) 

なんて素晴らしいんだろう 

どこへでも行ける 

腕を組んで 

歌を歌いながら 

「C’est bon(良い)」に「si」がつくだけで、「なんて素晴らしいんだろう」という強い肯定になっています。 

「C’est si bon」は曲のタイトルであり、何度も繰り返されるフレーズです。 

本当に幸せそうですよね! 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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