「生涯君を愛す」!
今回のタイトルは、自分でつけておいて少し恥ずかしいのですが…。
扱うフレーズの一部を変化させれば簡単です。
このフレーズをフランス語で言えるようになりたい方、ぜひ続きをどうぞ!
このフレーズの場所と背景
- では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Et toute la journée il répète comme toi :」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第7章の後半にある王子さまのセリフです。
「et toute la journée il répète comme toi」
「et」は「そして」、「toute」は「~の全体」「すべての~」という意味の「tout」の女性形です。
「la」は定冠詞単数女性形、「journée」は「昼間」「1日」という意味の女性名詞です。
「il」は「彼」「それ」、「répète」は「繰り返す」「繰り返して言う」「(繰り返して)練習する」などの意味の「répéter」の活用形(現在形)です。
ここでの「comme」は「~のように」「~のような」という意味です。
「toi」は「きみ」という意味の「tu」の強勢形です。
背景を見てみると
生死にかかわる飛行機の修理にかかりきりの語り手の男性は、羊と花の関係という、大事とは思えない王子さまの質問に対して適当に答え、2人は険悪な状況になってしまいます。
王子さまは花の味方をするのですが、それどころではない男性は聞く耳を持ちません。
今回のフレーズのある段落では、王子さまがある星で出会った他の男性について語ることで、語り手の男性が忘れかけていたことを思い出させようとしています。
「生涯君を…」
衝撃的なタイトルをつけてしまったので、大事なことは先にお知らせしておきます。
「生涯君を…」はフランス語で、「Je t’aime toute ma vie.」になります。
このフレーズで文法的に大切なのは「toute ma vie」の部分です。
前述通り、「toute」は「~の全体」「すべての~」という意味の「tout」の女性形です。
ここでの「tout(toute)」は形容詞で、次に来る名詞の「まるごとすべて」というニュアンスを含みます。
「ma vie(私の人生)」をまるごとすべて、つまり「toute ma vie」は「私の生涯を通じて」という意味になるのです。
「toute la journée」
今回のフレーズに戻ると、「toute la journée」は「la journée(昼間/1日)」の「まるごとすべて」なので、「1日じゅう」という意味になります。
「journée」には「昼間」という意味もあるのですが、「toute la journée」は「1日じゅう」つまり「朝から晩まで」という捉え方をされます。
なお「journée」が女性名詞なので、定冠詞が女性形、さらに形容詞「tout」も女性形の「toute」になっています。
いろいろな「~じゅう」
この「形容詞のtout + 定冠詞 + 時間を表す名詞」という形で「~じゅう」という表現は、まだたくさんあります。
代表的なモノをご紹介します。
- toute la journée(1日じゅう)
- toute la soirée(夜の間ずっと)
- toute la nuit(ひと晩じゅう)
- toute la matinée(午前中ずっと)
- tout l’après-midi(午後ずっと)
- toute la semaine(1週間ずっと)
- tout le mois(1ヶ月ずっと)
- toute l’année(1年じゅう)
- tout le temps(いつも/ずっと)
- toute la vie(生涯ずっと)
繰り返しになりますが、名詞部分の性によって、「tout」や冠詞が変化しています。
発音も変わりますので、注意してください。
「夜」と「晩」について
この中で少々わかりにくいのが、2番の「toute la soirée(夜の間ずっと)」と3番の「toute la nuit(ひと晩じゅう)」かもしれません。
フランス語の「soirée」という言葉は日本語の「晩」に当たるので、「日没から就寝までの時間」に相当します。
「nuit」の方は日本語の「夜」に当たり、「日没から翌日の日の出まで」です。
「夜」と「晩」の例文
念のため、例文を挙げておきます。
- J’ai regardé des films toute la soirée.
私は夜の間ずっと映画を見ていた - Le bébé a pleuré toute la nuit.
赤ちゃんがひと晩じゅう泣いていた
和訳すると、「晩」と「夜」の定義がひっくり返ってしまいます。
「toute la soirée(夜の間ずっと)」は、映画を観ていたのですから「就寝までの時間ずっと」という意味なので、定義通りなら「晩の間ずっと」という方が正解です。
そして「toute la nuit(ひと晩じゅう)」の方は、赤ちゃん本人ではなく、赤ちゃんの近くにいた人が言っているわけなので、その人が寝ていてもいなくても、赤ちゃんは明け方まで泣いていたイメージです。
本来なら、こちらの方が「夜の間ずっと」と表現されるべきですが、「ひと晩じゅうずっと」という言い方をしますよね?
この2つに関しては、フランス語の方が定義通りの表現をしていると思います。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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