日常会話で使う「n’importe ~」
今回のフレーズにある「n’importe ~」という表現は、いろいろな言葉と組み合わされます。
日常会話でよく使うものをまとめてみました。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「J’ai répondu n’importe quoi.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第7章の中ほどにある語り手の男性のセリフです。
「j’ai répondu n’importe quoi」
「j’ai」は「わたし」を意味する「je」の省略形「j’」と「avoir」の活用形(現在形)の「ai」が合わさったものです。
「répondu」は「答える」「返事をする」などの意味の「répondre」の過去分詞です。
「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」なので、過去を表す表現です。
「n’importe」は、否定の「ne」の省略形「n’」と「importe」がつながった形です。
「importe」は「重要である」という意味の動詞「importer」の現在形です。
「n’importe ~」は「~は重要ではない」転じて「~でもいい」「~でも構わない」になります。
「quoi」は「何」という意味で、疑問代名詞の「que」の強勢形です。
つまり「n’importe quoi」で「何でも」という意味になります。
背景を見てみると
生死にかかわる飛行機の修理にかかりきりの語り手の男性は、羊と花の関係という、大事とは思えない王子さまの質問に対して適当に答えた挙句、「花のトゲなんて何の役にも立たないし、ただ単に意地悪なだけだ」と言い放ちます。
すると王子さまは強く反発して花の味方をするのですが、男性は強く王子さまの質問をさえぎり、今回のフレーズを続けるのです。
いろいろな「n’importe ~」
では、「n’importe ~」のつく表現を挙げてみます。
- n’importe qui(誰でも)
- n’importe quoi(何でも)
- n’importe où(どこでも)
- n’importe quand(いつでも)
- n’importe comment(どんなやり方でも)
- n’importe quel/quelle(どんな~でも)
- n’importe quelle heure(どんな時間でも)
- n’importe quel jour(どの日でも)
- n’importe quel endroit(どんな場所でも)
- n’importe quelle raison(どんな理由でも)
「n’importe ~」解説
2番「n’importe quoi(何でも)」は今回のフレーズで、3番「n’importe où(どこでも)」はこのシリーズの第31回で扱っています。
「n’importe +(疑問詞)」だということがわかりますね!
6番「n’importe quel/quelle(どんな~でも)」は、「quel」または「quelle」という疑問形容詞がついた形です。
後ろに来るのが男性名詞なら「quel」を、女性名詞なら「quelle」をつけます。
8番と9番は男性名詞「jour(日)」「endroit(場所)」がついているので「quel」、7番と10番は女性名詞「heure(時間)」「raison(理由)」がついているので「quelle」になっています。
「n’importe ~」の例文
- N’importe qui peut le faire. (誰でもそれができる)
- Tu dis n’importe quoi. (君は滅茶苦茶なことを言う)
- Je peux aller n’importe où. (どこへでも行ける)
- Tu peux venir n’importe quand. (いつ来てもいいよ)
- Il a fait ça n’importe comment. (彼はそれを適当にやった)
- Tu peux prendre n’importe quel livre. (どの本でも持って行って)
- Je suis disponible n’importe quel jour. (どの日でも空いている)
- Appelle-moi à n’importe quelle heure. (どんな時間でも電話して)
- On peut se retrouver à n’importe quel endroit. (どんな場所でも会える)
- Il trouve n’importe quelle raison pour se plaindre. (彼は何かしら理由を見つけては文句を言う)
和訳について
次の3つについては、和訳すると「~でも」にはなっていません。
2番「Tu dis n’importe quoi. (君は滅茶苦茶なことを言う)」
5番「Il a fait ça n’importe comment. (彼はそれを適当にやった) 」
10番「Il trouve n’importe quelle raison pour se plaindre. (彼は何かしら理由を見つけては文句を言う) 」
「すべて返事をした」のではない!
例えば2番の「Tu dis n’importe quoi.」は、直訳すると「君は何でも言う」なのですが、ここでの「何でも」というのは「すべて」という意味ではなく、「滅茶苦茶なこと」「支離滅裂なこと」「バカなこと」などのマイナスイメージを伴なう意味での「何でも」です。
そのため、今回のフレーズ「J’ai répondu n’importe quoi.」についても、語り手の男性は「何でも返事をした」や「すべて答えた」のではなく、「滅茶苦茶な返事をした」という意味になります。
10の例文を振り返っていただくと分かるのですが、「n’importe ~」という言い方すべてがマイナスイメージなのではありません。
「n’importe ~」の基本的な意味は「~でも」ですが、文脈によっては少し広がりのある言い方になります。
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