304 相手を黙らせるのに便利な言い方とは? Un mouton mange tout ce qu’il rencontre.

その他(王子さま)

使い回し可能!

今回のフレーズはケンカをしている場面ではないのですが、この中には便利な表現が含まれています。 

これを使えば相手を黙らせたり、自分の要求をアピールしたりするのが簡単です。 

応用フレーズをいくつかご紹介します。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Un mouton mange tout ce qu’il rencontre.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第7章の始めにあります。 

第7章の最初の会話部分の2行目にあるフレーズで、語り手の男性のセリフです。 

「un mouton mange tout ce qu’il rencontre」

「un」は不定冠詞単数男性形、「mouton」は「羊」を意味する男性名詞です。 

「mange」は人や動物が主語で、「(食べ物を)食べる」という意味の「manger」の活用形(現在形)です。 

ここでの「tout」は形容詞で「全体の」「全部の」という意味ですが、「tout ce que ~」という形で「~することすべて」という意味になります。 

「q’il」は「tout ce que」の一部である「que」の省略形「qu’」と人称代名詞3人称単数の「il」が合わさったものです。 

「rencontre」は「(人に)偶然に出会う」「(約束した人と)会う」「(困難や幸運などに)遭遇する」などの意味の「rencontrer」の活用形(現在形)です。 

背景を見てみると

サハラ砂漠で出会って5日目、何の脈絡もなく突然始まる質問によって、男性はさらに王子さまについて知ることになります。 

「羊は花も食べるの?」と聞いてきた王子さまへの男性の回答が、今回のフレーズです。 

ただしこの時、男性は飛行機の修理がうまくいかなくて悩まされていました。 

この答えをきっかけに王子さまが泣いて怒り出すなど、想像もできませんでした。 

王子さまを傷つけるきっかけ

背景にある通り、このフレーズを言った時の男性は命に係わる危険にさらされていて、王子さまの言う「羊」や「花」どころではありませんでした。 

なので後先を考えずに「羊は何でも食べる」という意味で「Un mouton mange tout ce qu’il rencontre.」と言っています。 

「tout ce qu’il rencontre」の部分は文字通り「出会ったモノすべて」ということです。 

応用フレーズ

前述通り「tout ce que ~」は「~することすべて」という意味ですが、「~」の部分には小さなフレーズが入ります。 

今回のフレーズでは「il rencontre」に当たる部分ですね。 

この言い方は使い回しができて便利なので、応用フレーズをご紹介します。 

相手を黙らせたい場合

誤解を恐れずに言えば、大抵のフランス人は話し好きで(もちろん例外もいますが)、こちらがフランス語を話すと分かると、おしゃべりが止まらない人がよくいます。 

こういう人にケンカを売らずに黙らせたい場合、「他に言いたいこと、まだある?」という意味で、「C’est tout ce que tu veux dire ?」または「C’est tout ce que vous voulez dire ?」と言います。 

「きみ(あなた)が言いたいことは、これで全てですか?」ということです。 

「~したい」という意味の「vouloir」に「言う」という意味の「dire」の原形をつければいいだけなので、覚えやすいですね! 

自分の要求をアピールしたい場合

逆に自分の要求をアピールしたいなら、先に自分が実現したいことや自分の欲しいモノを並べてしまい、その後に「私がしたい(欲しい)のはこれだけ!」という意味で「C’est tout ce que je souhaite !」と言います。 

実現したいことなら「動詞の原形(+ 目的語など)」の形で並べた後に「c’est tout ce que je souhaite !」にします。 

例えば「Aller à Paris, c’est tout ce que je souhaite !(パリにさえ行ければいい!)」。 

欲しいモノなら「冠詞 + 名詞」の形で並べた後に「c’est tout ce que je souhaite !」にします。 

この場合の例は「Du riz bien chaud, c’est tout ce que je souhaite !(あったかいご飯さえあればいい!)」。 

「souhaiter」を使う理由

先ほどのように「~したい」という意味の「vouloir」を使うと欲求そのものが前面に出て、少々直接的です。 

自分の主張をする時には少し幼稚っぽくなってしまうので、「~を希望する」という意味の「souhaiter」を使うのです。 

ただし親しい間柄なら、「Du riz bien chaud, c’est tout ce que je veux !(あったかいご飯さえあればいい!)」で大丈夫です。 

どうかあなたの願いごとが叶いますように! 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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