味覚の違いについて
国際結婚をして外国に住み、2人の子どもの出産・育児もしているので、日本で暮らす方たちよりは国や文化などの違いにについて考えることが多いと思います。
フランス人の主人は和食・中華などが大好きで、食材の好き嫌いもないため、家ではお米が中心の食事をしています。
それでも、味覚の違いを感じさせられることがよくある、というお話しです。
和食の味覚
主人と味覚が違うことを感じさせられるのは、お味噌汁です。
毎朝ほぼ必ず飲んでいますが、お味噌の量を決めるのは必ず私です。
主人に味付けを任せると、うまくいかないからです。
フランスでは鰹節や昆布が高価なうえ、煮干しはほぼ入手できないので、家では魚のアラや鶏ガラなどでダシを取って使っています。
なので、ダシの濃度が一定ではなく、調整が必要になります。
ところが、主人に限らず大抵のフランス人は、和食のうま味の濃淡が感じにくいようで、ダシやお味噌のバランスを取るのが苦手なのです。
フランス料理の味覚
ただしフランス料理に関しては、私はほぼ一切手を出しません。
まったく同じ材料と同じ道具を使っても、どんなに作り方を教えてもらっても、主人と同じようにできた試しがないからです。
一番違いが出てしまうのは、「ratatouille」という南フランスの野菜料理です。
ズッキーニ・ナス・パプリカ・トマトなどの夏野菜を、オリーブオイルで炒めてから煮る料理なのですが、私が作るとただの野菜炒めになってしまいます。
その他世界各地の料理
結果我が家では、主人が作る時はいわゆる洋食、私が作る時は和食か中華というルールが出来上がりました。
カレーに関しては、日本のカレールーを使う時はもちろん、そうでない時も私が作ります。
なお、世界各地のその他の料理に関しては、子どもたちが作ってくれることが増えました。
誕生日などに、アフリカ各地の料理や南アメリカの料理などを作ってくれます。
移民2世や3世の友だちの家に呼ばれたり、一緒においしいと評判のレストランに食べに行ったり、さらには直接教えてもらっているようです。
移民の1人として
私自身も移民の1人として、子どもたちが友達を連れてくれば和食を作りますし、おにぎりや和菓子を作ってプレゼントすることもあります。
最近は、フランスのスーパーでもおにぎりを売るところが出てきましたが、ほんの数年前まではおにぎりの実物を見たことがない人が多く、プレゼントして感激されたことも。
おにぎりは「ピカチュウの食べてた、アレ!」という認識だったらしく、「自分で作ってみたのとは、あまりにも違う」という感想をもらったこともあります。
やはり生まれた場所の風土に合い、文化に根差した料理によって得た味覚というのは、そう簡単に変わらないのかもしれません。
味覚の国境は越えられない?
ところで、今や星付きのレストランに日本人の研修生がいないところはないと言われます。
でも自分自身の経験から、日本生まれの日本人がフランスで修業し、さらに日本の食材でフランスの味を再現したり、新たにメニュー開発をするというのは、努力で克服できることなのだろうか、と思ってしまいます。
たとえ人気店の秘蔵レシピを日本に持ち帰ったとしても、そもそも野菜や肉などの食材自体が違うので、乗り越えるべき障害は数えきれないほどあると思うのです。
いくらプロとはいえ、日本で生まれ育った方たちが味覚の違いというハードルを乗り越え、さらには食材の違いまでも克服するというのは、やはり想像を絶することです。
私自身は味覚の国境を超えることはできそうにありませんが、才能ある方の努力次第では、不可能なことではないのかもしれませんね!
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