ニュース記事も教材
フランス語学習の入門期であっても、少し慣れてきたら、ニュース記事などをフランス語で読んでみるのはおススメです。
でもそうした際に、略称でつまずきやすいのも確かです。
よく使われるものは、あらかじめ覚えておくことで、ラクになるのはもちろん、正式名称の構成を知ること自体が勉強にもなります。
英語との違い
日本語で報道される国際機関の略称は、基本的に英語の正式名称の頭文字を取ったものです。
フランス語の報道で使われるのは、もちろんフランス語の正式名称の頭文字であることが多いです。
英語とフランス語では、同じ文字から始まる単語を使っていても、並び方が違うせいで順番が逆になったりします。
形容詞は後ろから
その典型的な例が、形容詞が名詞の後ろに来る場合です。
発音が若干違うものの、ほぼ同じ単語を使っているのに、順番がまったく逆になっています。
EU → UE
EU(欧州連合)は、フランス語では「UE」です。
「Union Européenne」がフランス語の正式名称なので、この2つの単語の頭文字を取っているためです。
日本語で「連合」と訳されている「union」が名詞、その後に「欧州の」を意味する形容詞という順番になっています。
なお「union」が女性名詞なので、「européenne」も女性形です。
IMF → FMI
IMF(国際通貨基金)は、フランス語では「FMI」です。
「Fonds Monétaire International」がフランス語の正式名称なので、この3つの単語の頭文字を取っているためです。
こちらも、「基金」と訳されている「fonds」が名詞、その後に「通貨の」を意味する「monétaire」と「国際の」を意味する「international」という順番になっています。
「fonds」が男性名詞なので、「international」も男性形です。
「monétaire」は、語尾が「e」で終わる形容詞なので、男女同形です。
ちなみに、「基金」を意味する「fonds」は語尾が「s」ですが、複数形ではありません。
語尾に「s」のつかない「fond」という男性名詞もありますが、「底」「奥」などの意味の別単語です。
「AのB」は「B de A」
フランス語では、「~の~」を意味する前置詞として「de」がよく使われますが、日本語とは語順が逆になります。
「AのB」と言いたい場合は「B de A」になるということです。
英語は日本語と同じ語順であることが多いので(例外も多々ありますが)、英語とフランス語は似たような単語であるにもかかわらず、ひんぱんに語順がひっくり返ります。
UN→ ONU
UN(国際連合)は、フランス語では「ONU」です。
「Organisation des Nations Unies」がフランス語の正式名称です。
「機関」を意味する「organisation」が名詞、その後に「~の~」を意味する前置詞+定冠詞である「des」と「国」を意味する女性名詞「nation」の複数形「nations」、「連合した」という意味の「uni」の女性複数形「unies」という順番になっています。
英語には入っていない「organisation(機関)」ですが、フランス語には含まれるので「O」が入ります。
NATO → OTAN
NATO(北大西洋条約機構)は、フランス語では「OTAN」です。
「Organisation du Traité de l’Atlantique Nord」がフランス語の正式名称です。
「機構」と訳されている「organisation」が名詞、その後に「~の~」を意味する前置詞+定冠詞である「du」と「条約」を意味する「traité」、さらに前置詞「de」、定冠詞のついた「大西洋」を意味する「Atlantique」、「北の」を意味する「nord」という順番になっています。
日本語と英語はまったく同じ語順、フランス語はすべて逆なのです。
初めて「OTAN」を聞いた時は、何のことかまったくわかりませんでした。
辞書を引いた時に、思わず声が出てしまったほど驚いたのを覚えています。
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