いろいろな木や草
今回のフレーズのある第5章では、木に関する複数の単語が登場します。
日本語だとどれも「木」なのに、フランス語では複数の言葉になっています。
「草」に関する言葉とともに、まとめてご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「C’est bien vrai, n’est-ce pas, que les moutons mangent les arbustes ?」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第5章の始めにあります。
第5章始めの会話部分にある最初のフレーズで、王子さまのセリフです。
「c’est bien vrai」
「c’est」は「ce」の省略形「c’」と「être」の活用形「est」が合わさってできています。
「bien」は「よく」「正しく」「非常に」「本当に」、「vrai」は「真実の」「本当の」「現実の」などという意味です。
「n’est-ce pas」
「n’est-ce pas」は、「c’est」の否定形「ce n’est pas」の倒置形で、否定の疑問文のほか、「~じゃないですよね?」という同意を求める表現として使われます。
「n’est」は、「ne」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
「que」
「que」は疑問詞や感嘆詞、関係代名詞や接続詞になるのですが、今回のフレーズでは「?」や「!」がないので、関係代名詞か接続詞になります。
関係代名詞か接続詞かを見分けるには、「que」の後の部分に小さなフレーズの節を見ます。
関係代名詞なら、節の中の小さなフレーズに足りないものがあるのですが、接続詞なら、節の中は一つの文章として完結していて、足りないものはありません。
今回のフレーズでは節の中が完結しているので、この「que」は接続詞です。
「les moutons mangent les arbustes」
「les」は定冠詞複数形、「moutons」は「羊」を意味する男性名詞「mouton」の複数形です。
「mangent」は人や動物が主語で、「(食べ物を)食べる」という意味の「manger」の活用形(現在形)です。
「arbustes」は「低木」という意味の男性名詞「arbuste」の複数形です。
背景を見てみると
王子さまと砂漠で出会い、語り手の男性はいろいろな話しを聞いています。
そして出会って3日目には、王子さまの星の厄介者、バオバブの木について聞くことになりました。
かなりドラマチックな話しの最初となったのが、今回のフレーズです。
羊に食べてほしいモノ
背景にある通り、今回のフレーズは王子さまのセリフです。
「C’est bien vrai, n’est-ce pas, que les moutons mangent les arbustes ?」を見てみると、「羊が『les arbustes』を食べるって、ホントに本当だよね?」なのですが、「arbuste」というのは、木の一種です。
今回のフレーズの後で、男性が「バオバブはarbustesではなくarbresだ」というくだりがあります。
いろいろな「木」
「arbuste」と「arbre」、さらに「bois」という単語もあり、すべて「木」なのですが、少しずつ違いがあるので、整理してみます。
まず、今回のフレーズにある「arbuste」は「低木」や「灌木」などと訳される木です。
何メートルまでの木が「arbuste」になるのかについては、フランス語の説明でもまちまちなのですが、少なくとも7メートル以上になるものは「arbuste」とは言いません。
成長し終わっても、はるかに見上げるほどには大きくならない木のことで、庭に植えられる木などは、「arbuste」であることが多いです。
大きな「木」
それに対し、「arbre」や「bois」は大きくなる木です。
王子さまを困らせるバオバブの木などは、間違いなく「arbre」または「bois」に当たります。
「arbre」と「bois」はどちらも同じように使われますが、違いでハッキリしているのは、「bois」の方は「木材」や「燃料としての薪」という意味で使われるということです。
切った後の木のことを「arbre」と呼ぶことはありません。
いろいろな「草」
なお「草」に関しては、「herbe」という言葉がよく使われます。
日本語には英語読みの「ハーブ」が外来語として定着していますし、「ハーブ」と言えば料理や薬草などの有益な植物というイメージがありますよね?
でもフランス語の「herbe」には、タイムやローズマリーなどだけではなく、雑草のような人を困らせる草にも使われる単語です。
つまり、「Herbes de Provence」という言葉がある一方で、雑草のことを「mauvaise herbe」と言うのです。
漢字は便利!
木や草などに関する言葉には他にもまだたくさんありますが、もっとも使われるのは今回ご紹介した4つです。
日本語には漢字があるので、「木」や「草」という文字によってグループ分けができて便利なのですが、フランス語だとさまざまな単語を覚える必要があります。
1つずつ慣れるしかないですよね…。
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