全く異なる2つの意味
今回のフレーズの動詞は、試合などに「勝つ」という意味でよく使われる「gagner」ですが、生活するうえでよく使われるのは「稼ぐ」という意味の方です。
なぜ全く違う2つの意味で使われる言葉なのか、そしてその他の意味も併せてご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Combien gagne son père ?」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の中ほどにあります。
第4章の3枚目の挿絵から11番目のフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「combien gagne son père」
「combien」は数や量を聞く疑問詞で「どれだけ」「いくらの」という意味です。
「gagne」は「gagner」の活用形(現在形)で、疑問文のため倒置されて前に出ています。
「son」は「彼の」「それの」、「père」は男性名詞で「父」「父親」です。
「gagner」は人が主語で「稼ぐ」「獲得する」「(試合などに)勝つ」、物事が主語で「(人を)襲う」などの意味です。
背景を見てみると
語り手の男性は、王子さまの星だと考えるB612という小惑星発見にまつわるこっけいな話しの後、そもそもこうした状況になるのは、大人たちが物事の本質を見ようとしないからだと言います。
そして大人たちが話題にしない、物事の本質に迫る具体例として、新しい友だちができた時にするべき質問が3つ示されます。
その後で、本来はするべきではないものの、大人たちがよくしてしまう質問が4つ示されます。
今回のフレーズは、その最後の質問です。
ここでの「gagner」
さて先ほどもご紹介した通り、「gagner」という動詞には、人が主語で「稼ぐ」「獲得する」「(試合などに)勝つ」、物事が主語で「(人を)襲う」などのさまざまな意味があります。
今回のフレーズの主語「son père(彼の父親)」は人なので、「稼ぐ」「獲得する」「(試合などに)勝つ」という意味になります。
さらに「Combien(どれだけ/いくらの) ~ ?」と聞いているので、「稼ぐ」という意味なのは明らかです。
「勝つ」と「稼ぐ」
私は当初「勝つ」という意味で「gagner」を覚えたのですが、実際にフランス人ネイティブの話しを聞いていると、かなりの割合で「稼ぐ」という意味で使っていたので、少々驚いたのを記憶しています。
そこで調べてみると、「gagner」の本来の意味は「獲得する」だということがわかりました。
「お金を獲得する」から「稼ぐ」になり、「勝利を獲得する」から「勝つ」になったということです。
なお、アスリートでもない限り、「勝つ」という意味よりも「稼ぐ」という意味で使う人が多いのは、当然ですよね!
その他の意味
ところで「gagner」の意味として、物事が主語で「(人を)襲う」というものがあります。
実際の使い方は、「睡魔に襲われた」のような場合です。
「gagner」の意味を「稼ぐ」「獲得する」「勝つ」だけで覚えてしまうと、混乱してしまいそうなぐらい異なる意味にも思えますが、意外とそうではありません。
というのも、直訳すると「睡眠が私に勝った」になってしまいそうな言い方をするからです。
日本語でも「眠気に勝てなかった」と言うので、かなり似ていますよね!
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