王子さまの美意識とは?
旅先でたくさんの人に出会ってきた王子さまですが、友だちになってもいいと思えたのは、はたからは意味のない仕事と考えられてもおかしくない、ただ単に命令に従うだけの人物でした。
それでも王子さまが評価するのは、ある美学に基づいているようです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「C’est une occupation très jolie.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第14章の始めにあります。
第14章で王子さまは、街灯をつける男に出会います。
今回のフレーズは、街灯をつけている挿絵から6つ目にあって、王子さまが心の中で思ったことです。
「c’est」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「une」
不定冠詞の女性・単数です。
後ろに来るのが女性名詞で単数の「occupation」なので、「une」が使われています。
「occupation」
「occupation」は女性名詞で、意味は「占領」「やるべきこと」「仕事」などです。
「occupation」には1語で対応できる日本語がないため、かなりいろいろな意味があるように感じてしまう単語です。
「très」
「très」は「とても」を意味します。
「jolie」
「jolie」は形容詞「joli」の女性形で、「きれいな」「かわいい」「すてきな」などという意味です。
人・物の両方に使われます。
ここでは女性名詞の「occupation」にかかっているので、女性形の「jolie」になっていますが、発音は変わりません。
背景を見てみると
ごく小さな星にいて、ひとりで街灯をつけたり消したりを繰り返す男を見て、ばかげていると思った王子さま。
でも、それまで出会った他の人々よりは、この男の方がマシだと感じます。
彼は1分ごとに意味もなく街灯をつけたり消したりしているだけなのですが、他の人々があまりにもひどかったからなのか、点灯と消灯の作業に詩的な意味まで見出して、王子さまはうっとりしています。
王子さまのお眼鏡にかなった男
王子さまは、点灯・消灯作業に対して「une occupation très jolie」とまで言っています。
なぜそこまで評価するのかという理由は、このフレーズのある第14章の最後にあります。
それは、この点灯・消灯作業を繰り返す男だけが、自分以外のことにも目を向けていたから。
他の人々があまりにもエゴイストで、王子さまにはそれが許せなかったのです。
王子さまの感覚がマヒしたというよりも、王子さまの権力者としての美学に少しでも近づいたのが、街灯をつけたり消したりする男だけだったのでしょうね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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