フランスの地方にて
フランス語にも地方なまりが存在します。
フランス語の標準語は、フランス中部のToursの辺りと言われているので、それ以外の地方はイントネーションが異なったり、使う単語が違うこともあります。
今回は、地方なまりにまつわる私の実体験もお話しします。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Hein ?」と「Tu es toujours là ?」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第13章の始めにあります。
ビジネスマンの挿絵から少し下がったところにあるフレーズです。
第13章では、王子さまと、訪問先のビジネスマンとの会話が続きます。
今回のフレーズは、ビジネスマンのセリフです。
「hein」
「hein」は驚きや聞き返しの間投詞で、「えっ?」に当たります。
同意を求める時にも使われ、その場合は「ね、そうでしょう?」という感じです。
「tu」
「tu」は2人称代名詞単数です。
2人称代名詞単数と言うと、「あなた」「きみ」「おまえ」などですが、「tu」は親しい間柄で使われます。
複数になると、親しい間柄でも「vous」になるので、注意してください。
「es」
英語の be動詞に相当する、être動詞の2人称単数「tu」の活用形。
意味は「~です」に当たります。
「toujours」
「toujours」は、「いつも」「常に」「相変わらず」などの意味の副詞です。
「là」
「là」は「そこ」「あそこ」を表します。
「là」には「a」に右肩下がりのアクセントがついていて、定冠詞の「la」とは異なりますので、注意が必要です。
疑問文でも倒置しない
「Tu es toujours là ?」または「toujours」をつけない「Tu es là ?」は、「まだいる?」や「いる?」に当たるので、親しい間柄でよく使われる表現です。
「T’es toujours là ?」や「T’es là ?」のように、「Tu es」の部分を「T’es」短縮することもよくあります。
疑問文は倒置されることが多いのですが、「Tu es toujours là ?」を「Es-tu toujours là ?」にすることは、まずありません。
背景を見てみると
数字ばかりを追って忙しそうなビジネスマンに、王子さまは全く歓迎されていません。
王子さまはまだ到着したばかりなのに、ビジネスマンは数字をつぶやくばかりです。
そして王子さまが質問すると、返ってきた答えが今回のフレーズです。
同意を求める「hein ?」
ところで先ほど、「Hein ?」という間投詞は、「えっ?」という驚きや聞き返しのほかに、同意を求める使い方があるとご紹介しました。
それは「~, hein ?」の形で使われて、例えば「ねえ、一緒に来るよね?」の「ねえ、~ね?」に当たる部分になります。
「hein ?」の第一印象
「ねえ、一緒に来るよね?」はフランス語で「Tu viens avec moi, hein ?」になるのですが、これにはちょっとしたトラウマがあります。
もうかなり前のことなのですが、奇妙に感じてしまい、すぐに返事ができなかったのです。
クセのあるなまり
というのも、フランスに来た当初、私のフランス語力はほぼゼロだったので、「Hein ?」という間投詞を知りませんでした。
おまけに私が住んだ場所は、フランスでも語調やなまりが強いことで知られる地方です。
よそから来た人に、口げんかをしているのではないかと誤解されてしまうこともある、クセのある語調プラスなまりで「Tu viens avec moi, hein ?」と言われました。
日本語なら…
相手が親切で、一緒に来るように言ってくれているのは分かったのですが、なまった「hein ?」に一瞬、たじろいでしまいました。
すると相手は私が遠慮したとカン違いしたのか、「hein ?」を連呼してきます。
日本語なら「一緒に来るよね?」「ね?」「ね?」とかわいく聞こえますが、クセのある「hein ?」は、しばらくの間は少々トラウマになりました。
もちろん、慣れてからは笑い話しにしています。
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