「子ども」と「お花」の関係ではない!
今回のフレーズはセリフではなく、王子さまが思ったことです。
王子さまは子どもなのに、そして相手は1輪のバラなのに、こっけいを通り越してしまい、人間関係を考えるきっかけになるフレーズかもしれません。
好きな女性(実際はバラですが)を前にして、こんなことを男性が思ってしまったら、かなり危機的な状況です。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Cette fleur est bien compliquée…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第8章の中ほどにあります。
第8章では、王子さまとバラの花との会話が続きます。
このフレーズは第8章の3枚目の挿絵である虎とバラの絵と、4枚目の絵との間にあります。
王子さまがバラの花を前にして思った内容です。
「cette」
「cette」は、「ce」の女性形単数です。
意味は「これ(それ・あれ)」ですが、あまり距離による区別はしません。
「fleur」
「fleur」は「花」を意味する女性名詞です。
ここでは、「fleur」が単数の女性名詞なので、「cette」になっています。
「est」
英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称単数の活用形。
意味は「~です」に当たります。
「bien」
「bien」は、形容詞「compliquée」にかかる副詞です。
「よく」「正しく」「非常に」「本当に」などの意味があります。
「compliquée」
「compliquée」は、「compliqué」の女性形です。
物事が「複雑な」「わかりにくい」、人が「気難しい」などの意味です。
王子さまがこう思った理由
1輪しかない、美しいバラの花ですが、要求ばかりする上に見え透いたウソをつき、セキをしてごまかしたり、自分は草なんかじゃないと怒ったりします。
そして挙句の果てには「虎は怖くないけれど、風が大嫌い」と言われ、王子さまが思ったのが、今回のフレーズです。
ここでの「compliqué」
「compliqué」という単語は、物事なら「複雑な」「わかりにくい」、人なら「気難しい」という意味だと、先ほどご紹介しました。
バラの花は擬人化されていると言うよりも、ほとんど人そのものなので、和訳する際に意味を1つだけ選ぶとしたら、やはり「気難しい」になるだろうと思います。
ただし王子さまが「compliqué」と思ったのは、こうした背景でのことなので、「気難しい」だけではなく、「複雑」で「わかりにくい」という気持ちにもなったのではないでしょうか?
実際に人間関係でもめる時に、この言葉が使われる場面を考えると、やはりこの3つすべてが当てはまっているように感じます。
不変のやり取り?
王子さまは出逢ってすぐに「なんて美しい!」とまで言ったのですから、女性側(あくまでもバラですが!)とすれば、やさしく微笑んでいればよかったのかもしれません。
なのに、王子さまの気を引きたくて、かまって欲しくて、いろいろとねだったり、文句を言ってみたり、怒って見せたりと、本当に不器用なバラの花。
80年も前に発表された作品ですが、今日も世界中でこうしたやり取りが実際に行われていそうですね。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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