覚えやすくはなるけれど…
今回のフレーズある「exercice」は、外来語の「エクササイズ」の元になった単語です。
でも日本語の「エクササイズ」には、「exercice」のごく一部の意味しかありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなるというメリットがある反面、本来の意味が抜け落ちてしまうというデメリットもあることを知ってください。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je manque d’exercice.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第13章の挿絵から7行目にあるビジネスマンのセリフです。
「je manque d’exercice」
「je」は「わたし」、「manque」は「manquer」の活用形(現在形)です。
「manquer」は「manquer à +(人)」という形で「(人)に寂しい感じを与える」、「manquer de +(モノ/コト)」で「~が足りない」「~を欠いている」、「manquer +(名詞)」で「〜を逃す」「〜に間に合わない」「〜を失敗する」という意味になります。
ただし一部の意味では、日本語の感覚とは語順が逆になってしまうやっかいな動詞でもあります。
詳細は、2025年6月4日の「【フランス語文法まとめ】動詞「manquer」について」という配信をご参照ください。
「d’exercice」は前置詞の「de」の省略形「d’」と男性名詞「exercice」が合わさったものです。
「exercice」の意味については、後述します。
背景を見てみると
王子さまが4番目に訪問したのは、1人で計算ばかりを繰り返すビジネスマンが暮らす小さな星でした。
計算に夢中なあまり、くわえたタバコに火がついていないことにすら、気がついていません。
王子さまはビジネスマンがつぶやく数字について質問したのですが、そのせいでビジネスマンは気が散り、早く王子さまから解放されたがっているようです。
そんな様子はお構いなしの王子さまは再度同じ質問を繰り返したので、それまで王子さまを見ようともしなかったビジネスマンは、54年間で仕事の邪魔をされたのは3回しかないと訴え始めました。
このフレーズの意味
今回は、まずフレーズの意味を見てみます。
「manquer de +(モノ/コト)」で「~が足りない」「~を欠いている」という意味なので、「わたしには exercice が足りない」と言っています。
これはビジネスマンのセリフですが、この直前で彼は「リウマチの発作(激痛)のせいで仕事ができなかった」という趣旨の発言をしています。
今回のフレーズで、彼はリウマチの根本原因について話しているのです。
つまりここでの「exercice」に関しては、日本語の「エクササイズ」と同じ意味で使われています。
彼は、運動が足りないせいでリウマチになったと考えているようです。
「exercice」の使い方
なお、今回のフレーズでは「エクササイズ」と同じ意味で使われていましたが、フランス語の「exercice」には、他にもいろいろな意味があります。
どれもよく使われている意味なので、「エクササイズ」として覚えてしまうのは危険です。
使用例とともにご紹介します。
運動・体操(エクササイズ)
- faire de l’exercice
(運動をする) - un exercice physique
(フィジカルな運動)
練習問題・課題
- un exercice de maths
(数学の練習問題) - un exercice de grammaire
(文法の練習)
職業・職務の遂行
- l’exercice de sa profession
(職務の遂行) - l’exercice du droit
(法の執行、法律家としての職務の遂行)
軍事訓練・訓練全般
- un exercice militaire
(軍事演習) - un exercice d’évacuation
(避難訓練)
比喩的で知的な作業・訓練
- un exercice intellectuel
(知的な訓練・思考の練習) - un exercice de style
(文体の練習/文体遊び)
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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