異なる「一番」とは?
今回のフレーズには、質を表す言葉と量を表す言葉が含まれています。
表しているのは全部「一番」ですが、表現によってその内容が異なるのです。
例文で違いをご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「le mieux habillé, le plus riche et le plus intelligent de la planète.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第11章の終わりから6行前にある見栄っ張りな男のセリフ後半部分です。
「le mieux habillé, le plus riche et le plus intelligent de la planète」
「le mieux」は「le mieux +(動詞の過去分詞)」という形で「もっともよく」、「habillé」は「服を着せる」という意味の「habiller」の過去分詞です。
「le plus」は「le plus +(形容詞)」という形で「もっとも~な」「1番~な」、 「riche」は「金持ちの」「富裕な」「豊かな」。
「et」は「そして」、「intelligent」は「利口な」「頭がよい」「知的な」「賢い」。
「de」は前置詞、「la」は定冠詞単数女性形、「planète」は女性名詞で「惑星」という意味です。
背景を見てみると
王子さまが2番目に訪問したのは、見栄っ張りな男が1人で暮らす小さな星でした。
この見栄っ張りな男にとって、星にやって来る人は、すべて彼の崇拝者なのでした。
男は王子さまに拍手をさせては、挨拶を返すことを繰り返していましたが、本当に自分に敬服しているのかどうかを聞いてきます。
今回のフレーズは、王子さまが「敬服する」という言葉の意味を聞いたことへの回答の後半部分です。
このフレーズの全体は「Admirer signifie reconnaître que je suis l’homme le plus beau, le mieux habillé, le plus riche et le plus intelligent de la planète.」です。
フレーズの前半部分について
今回のフレーズは「敬服するとはどういう意味ですか?」という意味の「Qu’est-ce que signifie admirer ?」に対する回答部分の後半です。
回答の仕方については、前回第401回で扱っています。
「〇〇 signifie ~」という形で「〇〇とは、~という意味です」と言っています。
前回扱った部分「Admirer signifie reconnaître que je suis l’homme le plus beau,」だけで終わるなら、「敬服するとは、わたしがもっとも美しい(ハンサムだ)と認めることを意味する」ということになります。
今回扱う部分を含めることで、「le plus beau(もっとも美しい/ハンサムだ)」という以外の内容がフレーズに加わります。
「mieux habillé」
そして今回扱う部分「le mieux habillé, le plus riche et le plus intelligent de la planète.」の始めにある「le mieux habillé」ですが、前述通り「habillé」は「服を着せる」という意味の「habiller」の過去分詞です。
「habillé」は形容詞のように使われることが多い過去分詞で、その場合は「(人が)服を着た」という意味になります。
また、「mieux habillé(整った服装をしている)」もしくはその反対語の「mal habillé(みすぼらしい服装をしている)」という表現がよく使われます。
ここでは「le mieux(もっともよく)」という最上級の形になっているので、「le mieux habillé」は「もっとも整った服装をしている」ということになります。
1人でも一番!
今回扱う部分の残り「le plus riche et le plus intelligent de la planète」により、「le plus riche(もっともお金持ち)」で、「le plus intelligent(もっとも頭がいい)」ということが付け加えられています。
なおこのフレーズは見栄っ張りな男のセリフなので、「la planète(惑星)」とは、彼が1人で住んでいる小さな星のことです。
たった1人で住んでいるのに、「一番ハンサムで、一番いい服を着ていて、一番お金持ちで、一番頭がいい」ということを認めさせたがっているわけです。
これについては、直後に王子さまに指摘されています。
同じ一番なのに?
ところで、「一番ハンサムで、一番いい服を着ていて、一番お金持ちで、一番頭がいい」という部分を、あらためてフランス語で見てみます。
「le plus beau, le mieux habillé, le plus riche et le plus intelligent」ですね。
すべて「一番〇〇」という形になっているのですが、「le mieux habillé(もっとも整った服装をしている)」だけが「le mieux 〇〇」、残りはすべて「le plus 〇〇」という言い方をしています。
なぜでしょうか?
質と量の違い
実は「le plus habillé」という言い方もできるのですが、こうすると意味が変わってしまいます。
「le mieux habillé(もっとも整った服装をしている)」との違いは、例文を見るとよくわかります。
- Elle est la mieux habillée de l’école.
(彼女が学校で一番おしゃれだ)
- Il est le plus habillé en hiver.
(彼は冬に一番着込む)
「le mieux habillé(もっとも整った服装をしている)」の「mieux」を「plus」にすると、「le plus habillé(もっともたくさん服を着ている)」になるのです。
「mieux」は質を表し、「plus」は量を表すということですね。
注意点
なお「Elle est la mieux habillée de l’école.(彼女が学校で一番おしゃれだ)」でわかる通り、主語が女性の場合は「le mieux habillé」の部分も女性形の「la mieux habillée」になりますので、注意が必要です。
また、「le mieux」の後には「habillé」のような動詞の過去分詞を付けることはできますが、「beau」や「riche」などのような形容詞はつけることができません。
それに対し、「le plus」の後には動詞の過去分詞・形容詞の両方をつけることができます。
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