もしも「de」がなかったら?
今回のフレーズには前置詞の「de」がありますが、かなり大切な役目を果たしています。
このフレーズから「de」を取ってしまうと、語順が変わり、意味も変わってしまいます。
なぜ必要なのかをご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Vous avez un drôle de chapeau.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第11章の挿絵から2行目にある王子さまのセリフです。
「vous avez un drôle de chapeau」
ここでの「vous」は2人称代名詞単数の「あなた」、「avez」は「avoir」の活用形(現在形)です。
「un」は不定冠詞単数男性形、「drôle」は「こっけいな」「愉快な」「奇妙な」「変な」などの意味です。
「de」は前置詞、「chapeau」は「帽子」という意味の男性名詞です。
背景を見てみると
王子さまが2番目にやって来たのは、見栄っ張りな男が1人で暮らす小さな星でした。
最初の星の王様は、人がやって来ると家来だと捉えていましたが、この見栄っ張りな男にとっての訪問者は、すべて彼の崇拝者だと思ってしまいます。
到着した王子さまは、見栄っ張りな男に「Bonjour.」と挨拶をし、今回のフレーズを続けました。
形容詞と名詞の関係
さて、今回のフレーズを見て、違和感はなかったでしょうか?
「un drôle de chapeau」が、「冠詞 + 形容詞 + 前置詞 + 名詞」という構成になっているからです。
通常、フランス語では「冠詞 + 名詞 + 形容詞」になることが多く、一部の形容詞のみ「冠詞 + 形容詞 + 名詞」になることがあります。
こうした形容詞と名詞の関係については、このシリーズの第373回などでご紹介していますので、よろしければご参照ください。
特殊な「drôle」
ところが今回のフレーズは「un drôle de chapeau」で、「冠詞 + 形容詞 + 前置詞 + 名詞」という構成です。
実はこうした形になっている原因は、「drôle(こっけいな/愉快な/奇妙な/変な)」という形容詞にあります。
フランス語の形容詞は名詞の後につくのが普通で、前述通り名詞の前につくものもありますが、今回のフレーズにある「drôle」は、その意味にもあるように「変な」形容詞なのです。
「drôle de + 名詞」になることが多く、「変な~」という意味になります。
文法上、「drôle de + 名詞」の「de」を取って「drôle + 名詞」にすることはできません。
なお、「drôle」には「こっけいな」「愉快な」という意味もありますが、この意味になるのは名詞の後についた場合です。
「drôle de + 名詞」
つまり今回のフレーズ「Vous avez un drôle de chapeau.」の場合、
- drôle de + 名詞(→「変な」)
という形になっているので、「un drôle de chapeau(変な帽子)」という意味になります。
これは帽子が奇妙で、普通とは違う印象だということです。
「名詞 + drôle」
それに対し、「Vous avez un chapeau drôle.」のように、
- 名詞 + drôle(→「こっけいな」)
という語順なら、前置詞「de」は付かずに「un chapeau drôle(こっけいな帽子)」という意味になります。
これは帽子のデザインや形がユーモラスで、おかしく感じるということです。
ニュアンスの違いまとめ
「drôle」のニュアンスの違いをまとめます。
- un drôle de chapeau :「変な/奇妙な/風変わりな」驚きや違和感を伴う
- un chapeau drôle :「こっけいな/面白い/ユーモラスな」陽気な印象を与える
例えば、ピエロの帽子なら「un chapeau drôle」と言えますが、見たことのない不思議な形の帽子なら「un drôle de chapeau」の方が自然です。
ちなみに「Vous avez un drôle de chapeau.」は、「風変わりなお帽子ですね」ぐらいの意味になると思います。
「vous avez」の部分を「あなたは持っている」にしてしまうと、日本語として不自然ですよね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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