384 3つの「正しい」の違いを知ろう! Exact.

その他(王子さま)

違いを知って語いを増やそう!

今回のフレーズは「exact」という単語が1つだけですが、これでも立派なフレーズです。

「正しい」という意味ではあるものの、他にも「正しい」と訳せる単語はいくつかあります。

その代表とも言える「correct」「juste」と比べて、違いを考えてみます。

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Exact.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第10章の中ほどにある王様のセリフです。 

「exact」 

「exact」は「正確な」「正しい」「的確な」という意味の形容詞です。

本来は「C’est exact.」という定型文として使われることが多く、「その通りである」という意味になります。

「C’est exact.」の詳細は、このシリーズの第260回でご紹介していますので、参照してください。

背景を見てみると 

旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。 

王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。 

何にでも自分の命令が通用すると思っている王様は、星が命令に従うのかどうかを王子さまに質問されて「すぐに従う」と答えます。

なので、日が暮れるのを見るのが好きな王子さまは、日没を王様にねだるのですが、逆に王様に質問されて答えます。

今回のフレーズは、王様が王子さまの答えに対して「(それは)正解だ」と言っている部分です。

ニュアンスの違い

さて前述通り、「exact」は「C’est exact.(その通りである)」という形で使われることが多い単語です。

そして類義語に「correct」「juste」があります。

背景で触れた通り、ここでの「exact」は、質問に対する答えが「正解」だという意味で使われています。

でもなぜ「exact」が使われて、「correct」や「juste」ではないのでしょうか?

この3つを使った例文とともに、ニュアンスの違いを考えてみます。

1. 「exact」のニュアンス

「C’est exact.」という場合、「その通り」「それは正確だ」「それは間違いない」という意味になります。

「exact」は、事実や現実と完全に一致することを強調しています。

なので、数学的な答えや事実確認には、一番しっくり来る表現です。

誤差や不確実性が全くない状態を伝えるので、確信を持って「間違いない」と断言したいときに使います。

例えば、

A: Quelle est la capitale de la France ? (フランスの首都はどこですか?)

B: Paris.(パリです)

A: C’est exact. (その通りです)

この場合、「exact」は答えが正確で間違いないと強調しています。

2. 「correct」のニュアンス

「C’est correct.」と言うなら、「それは正しい」「それは適切だ」などの意味になります。

「correct」は、文法的な正しさや、状況に合っていることを表します。

事実の正確さだけでなく、答えや行動が決まりごとや期待に合っているかどうかを評価する時に使います。

「exact」は完全に一致する場合に使いますが、「correct」は「完全に正確ではなくても、大きな誤りがない」というニュアンスを含むことがあります。

例えば、

A: Est-ce que cette phrase est correcte ? (この文は正しいですか?)

B: Oui, c’est correct. (はい、正しいです)

この場合、「correct」は答えが文法的または論理的に適切であると言っていますが、「exact」と比べると、やや厳密さに欠けるかもしれません。

3. 「juste」のニュアンス

「C’est juste.」で答えれば、「それは正しい」「それは公平だ」などの意味になります。

「juste」は、道徳的または理論的に「正しい」「公平である」という考え方が焦点になるからです。

回答が正しい場合にも使えますが、正確性というよりも、価値観や文脈に合っているかどうかを伝えます。

事実性よりも判断や評価が優先されるイメージです。

例えば、

A: Ce calcul est-il juste ? (この計算は合っていますか?)

B: Oui, c’est juste. (はい、正しいです)

この場合、「juste」は「理屈に合う」というニュアンスで使われています。

この答え方だと、理屈に合う回答は、まだ他にもあるかもしれません。

「exact」で答えるなら、その回答以外にはないイメージですが、「juste」の場合は他にもまだ存在するかもしれないという余韻が残るからです。

また「juste」には「公平である」という意味もあるので、裁判などでの「正しい」という表現に使われることがあります。

なぜ「exact」で答える?

こうした違いを考えると、王様が「Correct.」や「Juste.」ではなく「Exact.」で答えているのは、

  • 「exact」は正確さが強調されるので、事実確認には自然だから
  • 「exact」には断言する響きがあるから
  • 「correct」や「juste」は、状況によっては多少あいまいになるから

といった理由によります。

それに加えて、事実確認には「C’est exact.」が定型句のようにひんぱんに使われるので耳になじみやすく、今回のフレーズ「Exact.」のように「c’est」を省略してしまうことがよくあるのです。

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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