おねだり上手な王子さま
今回のフレーズは王子さまのセリフですが、命令形を使った命令文です。
しかも相手は、誰もが即座に命令を聞き入れるという権力を持っている王様です。
でも大丈夫、王子さまは意外にもおねだり上手なので、その方法を教えてもらいましょう!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ordonnez au soleil de se coucher…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第10章の中ほどにある王子さまのセリフです。
「ordonnez au soleil de se coucher」
「ordonnez」は(事柄を)「命令する」「指示する」などの意味の「ordonner」の命令形です。
「ordonner à(人)de +(動詞の原形)」という形で「(人に)~せよと命令する」になります。
「au」は前置詞の「à」と定冠詞段数単数形の「le」が合わさった形、「soleil」は「太陽」「日光」「日差し」を意味する男性名詞です。
「de」は前置詞、「coucher」は「寝かせる」「横たえる」などの意味ですが、再帰代名詞の「se」を伴なうことで「寝る」「横たわる」「(太陽や月が)沈む」という意味になります。
背景を見てみると
旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。
王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。
何にでも自分の命令が通用すると思っている王様は、星が命令に従うのかどうかを王子さまに質問されて「すぐに従う」と答えます。
なので、日が暮れるのを見るのが好きな王子さまは、それを王様にねだることにしました。
今回のフレーズが、王子さまのおねだりの内容です。
王様に命令?
さて前述通り、このフレーズの「ordonnez」は命令形で、「ordonner à(人)de +(動詞の原形)」という形で「(人に)~せよと命令する」という意味です。
「ordonnez」はていねいな命令形なので、「~てください」に相当する表現なので、直訳すると「太陽に沈めと命令してください」です。
「太陽に日没を命じてください」ということですね。
このフレーズを見ると王子さまは、どう考えても王様に向かって命令しています。
おねだりのテクニックとは?
でもこのフレーズの前に、おねだり上手な王子さまのテクニックが隠れています。
まずは「日没を見たいのです」と希望を伝え、次に「Faites-moi plaisir…(お願いですから)」に続けて、今回のフレーズ「Ordonnez au soleil de se coucher…(太陽に日没を命じてください)」にしているのです。
命令形を使ってはいても、しっかり礼儀をわきまえてお願いをしています。
今回のフレーズは単なる命令ではなく、お願いの具体的な内容を伝えている部分だったのです。
なお、お願いのカギとなっているフレーズは、今回のフレーズの直前にある「Faites-moi plaisir…(お願いですから)」です。
詳細はこのシリーズの第382回でご紹介していますので、よろしければご利用ください。
さらにていねいにするなら
ちなみに今回のフレーズ「Ordonnez au soleil de se coucher…(太陽に日没を命じてください)」は、もっとていねいなお願い表現にすることも可能です。
「Pouvez-vous ~ ?」の形にすることで、「~していただけませんか?」といった意味になります。
- Pouvez-vous ordonner au soleil de se coucher ?
(太陽に日没を命じていただけませんか?)
文法上のポイントは、「Pouvez-vous」の後の動詞は原形にする必要があるので、原形の「ordonner」にすることぐらいです。
これだけでも十分にていねいな言い方ですが、前述通りこのフレーズの前には「Faites-moi plaisir…(お願いですから)」があるので、こう言われて断るのは難しそうです。
ぜひ活用して、上手なおねだりをしてみてくださいね!
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