気丈に振る舞うバラの花
今回のフレーズは、王子さまに対してわがままで見栄っ張りだったはずの、バラの花のセリフです。
ただしそれまでの態度を後悔したのか、寂しくて心もとないのに気丈に振る舞って、出発する王子さまの背中を押そうとしています。
出発を直接的に促すフレーズとともにご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Ne traîne pas comme ça, c’est agaçant.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第9章後半の会話部分にある、バラの花のセリフです。
「ne traîne pas comme ça, c’est agaçant」
「ne」は「pas」とともに「ne ~ pas」の形で「~ない」という否定表現です。
「traîne」は「(モノが)投げ出されたままになっている」」「(コトが)長引く」「(人が)グズグズする」などの意味の「traîner」の命令形です。
「comme」は、「~のように」「~のような」という意味です。
「ça」は代名詞で、本来は「あれ/それ」を意味する「cela」の話し言葉です。
「c’est」は「ce」の省略形「c’」と「être」の活用形「est」が合わさってできています。
「agaçant」は「神経にさわる」「イライラする」という意味の形容詞です。
背景を見てみると
旅立ちの朝、王子さまはバラの花に別れを告げました。
わがままで見栄っ張りなバラの花は、時にはウソをついて自分のことを大きく見せようとしたりしていましたが、急に自分の気持ちを打ち明けて謝罪までします。
王子さまは、バラの花が大嫌いだと言っていた風や、虫が来ることも心配するのですが、それまでと打って変わって、花は気丈に振る舞います。
そして今回のフレーズでは、王子さまの背中を押すように出発を促しています。
フレーズの意味は?
まずフレーズの意味を考えていきます。
「Ne traîne pas comme ça」の「traîne」は、前述通り命令形です。
元の動詞「traîner」は、「(モノが)投げ出されたままになっている」」「(コトが)長引く」「(人が)グズグズする」などいろいろな意味があります。
でもこのフレーズは、バラの花が王子さまに向かっていったものなので、「(人が)グズグズする」という意味になります。
「traîne」の部分は命令形なので「グズグズしろ」になるものの、否定の「ne ~ pas」があるので、「Ne traîne pas comme ça」で「そんな風にグズグズするな」になります。
そして「c’est agaçant」で「イライラする」ということです。
間接的なフレーズ
旅行に行くと決めたけれど、大好きなバラの花が心配な王子さま。
自分がいなくなったら、風や虫から守ってあげられないと、気にかけています。
バラの花は嬉しいはずですが、それでも「そんな風にグズグズしてないで、イライラする!」と言っています。
つまり今回のフレーズ「Ne traîne pas comme ça, c’est agaçant.」は、バラの花が間接的に王子さまの背中を押しています。
直接的に促すフレーズは?
では、日常生活の中で相手の出発を促すとしたら、どう言うでしょうか?
例えば学校に行く日の朝、グズグズしている子どもに対して母親がよく言うのが、これです。
- Dépêche-toi !
(急ぎなさい!)
これこそが、出発を直接的に促すフレーズの代表的なものです。
もしかすると、母親が子どもに言うフレーズの、ナンバー1かもしれませんね!
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