所有形容詞も覚えよう!
今回のフレーズはバラの花のセリフなのですが、間違いがあります。
バラはあえて間違っているのですが、正しいセリフにしてあげましょう!
また、誤解しやすい所有形容詞の使い方も、一緒に覚えましょう!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「J’ai mes griffes.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第9章後半の会話部分にある、バラの花のセリフです。
「j’ai mes griffes」
「j’ai」は「わたし」という意味の「je」の省略形「j’」と「avoir」の活用形(現在形)「ai」が合わさったものです。
「mes」は1人称複数の所有形容詞で、「私の」という意味になります。
「griffes」は(獣などの)「ツメ」「鉤爪」という意味の女性名詞「griffe」の複数形です。
背景を見てみると
旅立ちの朝、王子さまはバラの花に別れを告げました。
わがままで見栄っ張りなバラの花は、時にはウソをついて自分のことを大きく見せようとしたりしていましたが、急に自分の気持ちを打ち明けて謝罪までします。
王子さまは、バラの花が大嫌いだと言っていた風や、虫が来ることも心配するのですが、それまでと打って変わって、花は気丈に振る舞います。
虫どころか、トラのような野獣が来ても大丈夫だと言うのです。
正しいフレーズは?
背景にある通り、このフレーズはバラの花のセリフです。
ということは、「J’ai mes griffes.(わたしには鉤爪がある)」という言い方は間違いです。
バラに「griffe(ツメ/鉤爪)」はなく、あるのは「épine(トゲ)」なので、これを使って、本来バラの花が言うべきフレーズにすると:
- J’ai mes épines.
(わたしにはトゲがある)
になるはずです。
「mes épines」を発音するときは、単独だと発音されない「s」が、「é」と一緒に発音されること、さらに母音に挟まれた「s」は音がにごって「z」の音になることに注意してください。
1つだけなら?
今回のフレーズの「mes griffes(わたしのツメ/鉤爪)」という言い方は、複数形になっています。
仮に鉤爪が1つだとしたら、どういう言い方になるでしょうか?
- J’ai ma griffe.
(私にはツメ/鉤爪が1つある)
「griffe(ツメ/鉤爪)」は女性名詞なので、単数なら所有形容詞も単数女性形の「ma」を使います。
所有形容詞は性や数で変化しますが、話し手の性や数ではなく、後に来る名詞の性・数によるからです。
女性名詞なのに男性扱い?
「mes griffes(わたしのツメ/鉤爪)」ではなく、先ほど作ったフレーズ「J’ai mes épines.(わたしにはトゲがある)」の「mes épines(わたしのトゲ)」を1つだけにする場合は、どうなるでしょうか?
- J’ai mon épine.
(わたしにはトゲが1つある)
「épine(トゲ)」も女性名詞なのですが、所有形容詞が男性名詞の場合と同じ「mon」になっています。
これは「épine」が母音から始まっているからです。
女性名詞を男性扱いしている訳ではありませんが、注意したいポイントです。
強いバラの花?
ちなみに、ここでのバラの花は、あえて間違った「mes griffes(わたしのツメ/鉤爪)」という言い方をしていますが、なぜでしょうか?
それは背景にある通り、「トラのような野獣が来ても大丈夫」と言ったバラの花が、「だってわたしには(トラにも対抗できるような)ツメがあるから」と言っている場面だからです。
このフレーズの直後には、バラの花が王子さまに4本のトゲを見せています。
トラなど見たこともない、世間知らずのバラの花は、トラのキバよりも、ツメが危険だと思っている様子です。
それでも一生懸命に強がって、けなげに王子さまを送り出そうとしているんですよね!
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