363 簡単な接続法! Il faut bien que je supporte deux ou trois chenilles si je veux connaître les papillons.

動詞

身構えないで! 

今回のフレーズには、動詞の活用形の1つである接続法が使われています。 

「接続法」と聞くと身構えてしまう人も多いと思いますが、簡単なモノもあるんです。 

少しずつ始めましょう! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Il faut bien que je supporte deux ou trois chenilles si je veux connaître les papillons.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第9章後半の会話部分にある、バラの花のセリフです。 

「il faut bien que」 

「il」は形式上の主語で意味を持たない使い方、「faut」は動詞「falloir」の活用形(現在形)です。 

「falloir」の使い方はほとんどが「il faut ~」の形です。 

「il faut que +(接続法)」で「~しなければならない」「~するべき」という意味です。 

「bien」は「よく」「正しく」「非常に」「本当に」などの意味があります。 

「je supporte deux ou trois chenilles」 

「je」は「わたし」、「supporte」は「supporter」の活用形(接続法現在形)です。 

モノが主語で「支える」、人が主語で「耐える」「我慢する」「大目に見る」などの意味です。 

「deux」は数字の「2」、「ou」は「または」「あるいは」、「trois」は数字の「3」、「chenilles」は「毛虫」「芋虫」などの意味の女性名詞「chenille」の複数形です。 

「si je veux connaître les papillons」 

「si」は「もしも」、「je」は「わたし」、「veux」は「vouloir」の活用形です。 

「vouloir +(動詞の原形)」で、「~することを望む」という意味になります。 

「vouloir」についている動詞の原形「connaître」は(人または物事を)「知る」「知っている」などの意味です。 

「les」も定冠詞複数形、「papillons」は「チョウ」という意味の男性名詞「papillon」の複数形です。 

背景を見てみると 

旅立ちの朝、王子さまはバラの花に別れを告げました。 

わがままで見栄っ張りなバラの花は、時にはウソをついて自分のことを大きく見せようとしたりしていましたが、急に自分の気持ちを打ち明けて謝罪までします。 

王子さまは、バラの花が大嫌いだと言っていた風に加え、虫が来ることも心配するのですが、それに対する花の答えが今回のフレーズです。 

形は同じ! 

さて前述通り、今回のフレーズにある接続法の動詞は「supporte」。 

「supporter(支える/耐える/我慢する)」の接続法現在形です。 

でもこの形、普通の現在形(正式には直説法現在形と言います)と同じなんです。 

それは、この動詞のある部分「je supporte deux ou trois chenilles」の主語が「je(わたし)」だからです。 

活用形を比べると… 

「supporter」は、ER動詞と呼ばれる、一番多いタイプの形ですが、その活用形の直説法現在と接続法現在を比べてみます。 

主語 直説法現在  接続法現在 
je supporte supporte 
tu supportes supportes 
il/elle supporte supporte 
nous supportons supportions 
vous supportez supportiez 
ils/elles supportent supportent 

単数の主語(je/tu/il/elle)と3人称複数(ils/elles)はまったく同じ形、1人称複数(nous)と2人称複数(vous)は異なりますが、「i」が足されるだけです。 

つまり、主語が「nous」と「vous」の時だけ、「ちょっと変わる」と意識すればOK。 

それほど身構える必要はないのです。 

なぜ接続法に? 

直説法と接続法で、それほど大きく活用が変わるわけではないのはわかりました。 

けれどなぜ、このフレーズでは接続法を使うのでしょうか? 

それは「il faut que +(接続法)」という形で「~しなければならない」「~するべき」という意味になるからです。 

この形に似たものに「il faut +(動詞の原形)」があり、同様に「~しなければならない」「~するべき」という意味になります。 

2種類の「~しなければならない」 

では、同じ意味なのに、なぜ2種類の言い方があるのでしょうか? 

例文を挙げて考えてみます。 

まずシンプルな「il faut +(動詞の原形)」を使います。 

  • Il faut manger.
    (食べなければいけない) 

次に「il faut que +(接続法)」の場合は: 

  • Il faut que tu manges.
    (君は食べなければいけない) 

不特定の人向け 

「il faut +(動詞の原形)」を使った「Il faut manger.(食べなければいけない)」の方は、一般的に不特定の人に向けて「食べなければならない」と言っています。 

動詞の原形をつけるだけなので簡単なのですが、主語をハッキリさせることはできません。 

特定の人向け 

それに対し、「il faut que +(接続法)」を使った「Il faut que tu manges.(君は食べなければいけない)」だと、特定の人(この場合は「君」)が「食べなければならない」と言っています。 

主語をつけて、対象の人を明確にすることができます。 

動詞は接続法になるので、特に主語が「nous」や「vous」の時は注意が必要です。 

このフレーズの意味  

これまでの内容を踏まえて、今回のフレーズの意味を考えます。 

「Il faut bien que je supporte」で「私は我慢しなければならない」なのですが、その我慢する対象が「deux ou trois chenilles」なので、「毛虫の2匹や3匹」ということです。 

そして「si je veux connaître les papillons」とあるので、「もしもチョウを知りたいなら」ということです。 

それまでは王子さまにわがままばかり言っていたバラの花ですが、けなげに王子さまを送り出そうとしています。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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