35 冠詞の大切さを実感! Un quoi ?  Un champignon !

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本当にフレーズ? 

今回扱う部分は単語の羅列のようで、フレーズには見えないかもしれません。 

けれど、それぞれ「?」「!」で終わっているので、2つのフレーズです。 

話し言葉の中で、主語と動詞が省略された形です。 

強い意味を持たない「c’est」は、話し言葉では省略される場合もあるのです。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の「Un quoi ?」と「Un champignon !」の場所と背景を確認しておきます。 

この2つのフレーズは、第7章の後半にあります。 

第7章では、王子さまと語り手の男性の会話が続き、最後はバラの花の絵で終わっています。 

このフレーズは前回(第34回)扱った「Mais ce n’est pas un homme, c’est un champignon !」のすぐ後にあります。 

「Un quoi ?」は語り手の男性のセリフで、「Un champignon !」は王子さまのセリフです。 

「un」 

「un」は、不定冠詞男性単数形で、特定できないものを指すときに使われます。 

「quoi」 

「quoi」は、「何」を意味する疑問代名詞の「que」の強勢形です。 

強くなってはいるものの、「quoi」の意味も「何」です。 

場合によっては、日本語で興奮した際に使われる「なんだって?」程度の強い意味になります。 

「champignon」 

「champignon」は、男性名詞で「キノコ」を意味します。 

複数形は「champignons」ですが、単数・複数形の発音は同じです。 

「quoi」 で聞かれているのは? 

「場所と背景」の中で触れたとおり、今回の2つのフレーズは、前回のフレーズを受けた、男性のセリフです。 

前回のフレーズは王子さまのセリフで、「Mais ce n’est pas un homme, c’est un champignon !」というもの。 

この中の何かがわからなかったので、男性が「Un quoi ?」と聞き返したのです。 

冠詞は便利 

わからなかった部分を捜す場合、冠詞が役に立ちます。 

ネイティブには面倒だという意識はないようですが、外国人の私たちにはわかりにくい上に姓や数にもこだわらなければいけない冠詞など、ない方がいいぐらいの存在ですよね? 

それでも「Un quoi ?」と言っているのを見れば、聞いている対象は「un」の後にある名詞だということがわかります。 

2つあるけど… 

ただし今回の場合は、「Mais ce n’est pas un homme, c’est un champignon !」で、残念ながら「homme」と「champignon」と2つあります。 

でもよく見ると、「homme」の方は否定文ですが、「champignon」の方は肯定文なので、「champignon」だろうという察しがつきます。 

キノコの違和感 

そして答えは「champignon」。 

今回のフレーズの2つ目で、しっかり「Un champignon !」と言っています。 

前回ご紹介した通り、キノコを単数形で使うのには若干の違和感があり、また、人のことをキノコだと言っているので、語り手の男性は自分の耳を疑ったのに違いありません。 

そのため「Un quoi ?」と聞き返したのです。 

「Quoi ?」だけではダメ? 

日本語には冠詞がないため、ついつい冠詞を避けようとしてしまうのは、私だけではないはず。 

なので、ネイティブが今回のフレーズのように「Un quoi ?」などと聞き返しているのを見て、始めのうちは「Quoi ?」だけで十分だと思っていたのです。 

ところが、よく考えてみると、「Un quoi ?」と「Quoi ?」には違いがあると気付いたのです。 

「Un quoi ?」と「Quoi ?」の違い 

「Un quoi ?」と聞いた場合は、先ほど触れたとおり、冠詞のおかげで聞いている対象が明確です。 

今回は2つありましたが、それでも文章全体についてたずねているわけではありません。 

それに対して「Quoi ?」の場合は、質問の対象が相手のフレーズ全てになります。ピンポイントに聞けるわけではないのです。 

慣れると、冠詞はやっかい者どころか、ありがたい存在になることもありますので、いろいろなフレーズに触れていきたいですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね! 

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