345 バラの花が言いたかったこと! Là d’où je viens…

その他(王子さま)

セリフを完成してあげよう!

今回のフレーズは途中で切れてしまっています。 

このセリフを言いかけたバラの花が、最後まで言うのを止めてしまったからです。 

なので、バラの花のセリフを完成させてあげようと思います。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Là d’où je viens…」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第8章の3枚目の挿絵から6行目にある、バラの花のセリフです。 

「là d’où je viens」

「là」は「そこ」「あそこ」を表します。 

「d’où」は、前置詞の「de」と疑問詞で「どこ」という意味「où」が合わさってできています。 

「je」は「わたし」、「viens」は「来る」という意味の動詞「venir」の活用形(現在形)です。 

背景を見てみると

遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪のバラの花を思っています。 

ある朝花開いたバラと出会い、王子さまはすぐにその美しさに夢中になりました。 

わがままで見栄っ張りなバラは、王子さまの自分を思う気持ちを利用するかのように、いろいろと要求するようになります。 

王子さまの星は寒い、自分の故郷はもっと暖かかったとでも言いたげなバラですが、途中で言いよどんでしまっています。 

「Là d’où je viens…」

「d’où je viens」は倒置されていて、元の形は「je viens d’où」です。 

これは「venir + de +(場所)」という形で、「~から来る」「~の出身である」という意味になのですが、場所の部分が「où(どこ)」になって「là(そこ/あそこ)」にかかっています。 

つまり今回のフレーズは、「わたしの出身地は…」と言いかけたところで終わっています。 

見え透いたウソ

バラの花が言いかけたのが今回のフレーズですが、途中で黙ってしまった理由は、ウソをつこうとしたものの、それがあまりに見え透いていることに自分で気づいたからでした。 

バラは自分に夢中になっている王子さまの気を引きたくて、朝食の時間だからと言っては水をもらい、風が大嫌いだからと言っては衝立を持って来てもらいます。 

そして今回のフレーズの直前では、王子さまの星が寒いからと言って、カバーをかけてもらうように要求しています。 

なお、王子さまの星が寒いと言うだけではインパクトが足りないとでも思ったのか、自分の故郷のことを引き合いに出そうとしたわけです。 

ただし、バラは種として王子さまの星にやって来たので、故郷の様子などを覚えているはずもなく、このフレーズを言い始めたのに黙ってしまいました。 

バラが言おうとしたこと

なのでここでは、バラの花が言いたかったであろう、「わたしの出身地はここより暖かい」というフレーズを作ってみることにします。 

今回のフレーズ「Là d’où je viens」に続けます。 

「ここより暖かい」と言うには、このシリーズの第344回でご紹介した、天候を表す「il fait +(形容詞)」という形を使います。 

「Il fait doux」で「暖かい」ですが、「ここより暖かい」にするには「~より」という意味の「plus ~ que ~」にし、「ここ」という意味の「ici」を加えます。 

すると、「il fait plus doux qu’ici」になります。 

なお、今回のフレーズの少し前でバラの花が「froid(寒い)」という言い方をしているので、反対語を使った「Il fait chaud(暑い)」を変化させた「il fait plus chaud qu’ici」も使えます。 

すると、「Là d’où je viens, il fait plus chaud qu’ici.(わたしの出身地はここより暖かい)」になります。 

でもこれを言ってしまったら、バラの花はウソをつくことになりますね! 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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