ぜひ覚えよう!
今回のフレーズには「~を作る」「~をする」という意味の「faire」が使われていますが、「~を作る」「~をする」という意味ではありません。
特殊な使い方で、天候などを表す構文です。
日常生活でもよく使われるので、この機会にぜひ覚えてくださいね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Il fait très froid chez vous.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第8章の3枚目の挿絵から6行目にある、バラの花のセリフです。
「il fait très froid chez vous」
ここでの「il」は、非人称構文と呼ばれる形式上の主語、「fait」は「~を作る」「~をする」という意味の「faire」の活用形(現在形)です。
ただし「il fait +(形容詞)」という形で天候などを表します。
「très」は「とても」、「froid」は「冷たい」「寒い」という意味です。
「chez」は「~の家に」「~の店に」「~にあっては」「~においては」、ここでの「vous」は2人称代名詞単数の「あなた」です。
背景を見てみると
遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪のバラの花を思っています。
ある朝花開いたバラと出会い、王子さまはすぐにその美しさに夢中になりました。
わがままで見栄っ張りなバラは、王子さまの自分を思う気持ちを利用するかのように、いろいろと要求するようになります。
今回のフレーズは、自分を寒さから守ってくれるカバーを頼んだバラの花が、王子さまにその理由を言っている部分です。
il fait +(形容詞)
さて、「il fait +(形容詞)」という形で天候などを表します。
この中に入れる形容詞には性や数による変化はないので、形容詞だけを覚えるよりも「il fait ~」で覚えたほうが、実際に使う時にスムーズかもしれません。
よく使うものを挙げておきます。
- Il fait beau.(天気がいい)
- Il fait mauvais.(天気が悪い)
- Il fait chaud.(暑い)
- Il fait froid.(寒い)
- Il fait doux.(暖かい)
- Il fait frais.(涼しい)
- Il fait humide.(湿気がある)
- Il fait sec.(乾燥している)
2人称単数の「vous」
ところで前述通り、ここでの「vous」は2人称代名詞単数の「あなた」です。
「vous」は、2人称代名詞複数としても使われますが、ここでは王子さまが1人で住んでいる星のことを言っているので、単数として使われています。
2人称代名詞単数には「tu」があり、親しい間柄で使われる言葉なので「きみ」や「おまえ」などの意味です。
「vous」を単数で使う場合には若干の敬意があるので、「あなた」という意味になります。
「vous」を複数で使う場合は便宜上、「あなたたち」と訳される場合が多いのですが、「tu(きみ/おまえ)」が複数になっても「vous」になるので、2人称が複数になった時点で敬意の有無の区別はなくなってしまいます。
「chez vous」について
なお、「chez」に人称代名詞がつく時は強勢形になるというルールがありますが、「vous」に関しては強勢形になっても同じ形です。
「chez」は「~の家に」「~の店に」という意味で使われることが多いのですが、バラの花は王子さまの星のことを言っているので、この「chez vous」は「あなたのところ」ぐらいの意味ですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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