319 フランスらしい「赤い色」とは? Je connais une planète où il y a un Monsieur cramoisi.

その他(王子さま)

フランス語の赤

フランス語の「赤い色」と言えば、「口紅」という意味の外来語として定着した「ルージュ」つまり「rouge」が代表的です。 

今回のフレーズにある「cramoisi」も赤い色の一種ですが、その他のフランスらしい「赤い色」とともに、色合いや由来などをご紹介します。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Je connais une planète où il y a un Monsieur cramoisi.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第7章の後半にある王子さまのセリフです。 

「je connais une planète où il y a un Monsieur cramoisi」

「je」は「わたし」、「connais」は(人または物事を)「知る」「知っている」などの意味の「connaître」の活用形(現在形)です。 

「une」は不定冠詞単数女性形、「planète」は「惑星」という意味の女性名詞です。 

「où」は疑問詞なら「どこ」という意味ですが、ここでは場所を表す関係詞として使われています。 

「il y a ~」は「~がある」「~がいる」などの意味で、基本的に人・モノの存在を表します。 

「un」は不定冠詞単数男性形、「Monsieur」は男性への敬称として知られていますが、ここでは「男の人」という意味で使われています。 

「cramoisi」は「深紅色の」「(人の)顔が真っ赤な」という意味です。 

背景を見てみると

生死にかかわる飛行機の修理にかかりきりの語り手の男性は、羊と花の関係という、大事とは思えない王子さまの質問に対して適当に答え、2人は険悪な状況になってしまいます。 

王子さまは花の味方をするのですが、それどころではない男性は聞く耳を持ちません。 

今回のフレーズのある段落では、王子さまがある星で出会った他の男性について語ることで、語り手の男性が忘れかけていたことを思い出させようとしています。 

ここでの「cramoisi」

さて前述通り、「cramoisi」は「深紅色の」「(人の)顔が真っ赤な」という意味というのが、辞書にあるような説明です。 

ここでの「cramoisi」は「un Monsieur」の形容詞としての使い方なので、「顔が真っ赤な」という意味です。 

なので今回のフレーズ「Je connais une planète où il y a un Monsieur cramoisi.」は、「顔が真っ赤な男性のいる惑星を知っている」ということです。 

でもこの「Monsieur cramoisi(顔が真っ赤な男性)」の顔は、なぜ赤いのでしょうか? 

人の顔が赤くなる理由は、大体は酔っているか怒っているかですが、酔っている場合はあまり「cramoisi」で形容されません。 

つまり王子さまの知っている男性は、怒ったりイライラしているということです。 

本来の「cramoisi」

ただし「cramoisi」の示す赤は、元来はマイナスイメージで語られるような色ではありませんでした。 

日本語では「深紅」と表現されたりするものの、紫がかったりはせず、鮮やかで純粋な赤に近いものの、深みはある色です。 

歴史的に見れば、昔はこの色の染料が貴重で値段も高かったので、高貴な色の象徴でもありました。 

王族や貴族が身につけていた赤なので、「cramoisi」がどんな色なのかを知りたいなら、王様の肖像画などを見るのが確実です。 

その他のフランスらしい「赤い色」

なおその他の赤い色として、フランスらしいのはワインレッドですよね? 

ただしフランス語のワインレッドは1種類ではなく、ワインの産地の名前そのものが色の名前にもなっているのです。 

つまり「Bordeaux(ボルドー)」や「Bourgogne(ブルゴーニュ)」などが、ほぼそのまま色の名前になっているのです。 

でも1つだけ注意点があります。 

それは、色の名前として使われる場合には、ワインの産地名の時のように最初を大文字にせず、「bordeaux(ボルドー)」「bourgogne(ブルゴーニュ)」にするということです。 

ワインか色かで紛らわしい場合は、「rouge bordeaux(ボルドーの赤)」「rouge bourgogne(ブルゴーニュの赤)」とも言います。 

3つの「赤い色」の違いとは?

なお2つのワインレッドの違いは、「bordeaux(ボルドー)」はとても濃くて深みがある色、「bourgogne(ブルゴーニュ)」はそれよりは鮮やかさがあってルビー色に近い色です。 

ただし「cramoisi」はまったく紫がかっていないのに比べ、「bordeaux(ボルドー)」「bourgogne(ブルゴーニュ)」は多少紫がかっています。 

つまり、純粋な赤に一番近いのが「cramoisi」、ワインレッドの中でも透明感があるのが「bourgogne(ブルゴーニュ)」、リッチで落ち着いた印象のワインレッドが「bordeaux(ボルドー)」ということです。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

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