落とし穴からは抜け出そう!
今回は例外的に、扱うのはフレーズの一部分です。
それでもあえて扱うことにしたのは、フランス語の落とし穴の代表例だからです。
こうした落とし穴から早々に抜け出せれば、サクサクと覚えられますよね?
もっとも、「il y a six ans.」の先頭の「i」を大文字にして「Il y a six ans.」と書けばきちんと意味があり、本当によく使われるフレーズです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「il y a six ans.」の場所と背景を確認しておきます。
これは第2章の冒頭にありますが、第1章はお話しの前書きとして、語り手の男性の子ども時代のことなどが書かれている部分です。
なので、このフレーズこそが、実質的にはお話しの冒頭部分と考えていいと思います。
「il y a」
「il y a ~」の形で「ある」「いる」などの意味です。
今回は「~」の部分に名詞が入る形ですが、他の使い方もあります。
基本的には、人・モノの存在を表します。
「il y a ~」の「~」の部分に複数形が入ることもありますが、その場合でも「il y a」の部分は変化しません。
なお、今回のフレーズのように、「ある」や「いる」では訳せない場合もあります。
「il」
「il」は第17回でご紹介済みです。
3人称代名詞単数で、「彼」を表すのですが、モノやコトを受けて「それ」の意味になることもあります。
そして、場合によっては特に意味を持たないこともあり、今回の使い方もそれに当たります。
「y」
「y」は代名詞として「そこ」などの意味です。
ただしここでの「y」は意味を持たず、「il y a ~」という、決まった形の一部であるだけです。
「il y a ~」のうち、「il」と「y」の両方が意味を持たないのですが、話し言葉で省略する場合は、「il」だけを取ります。
「y」は省略できないのです。
「a」
「a」は、英語の「have」に相当する動詞、「avoir」の直説法現在三人称単数の活用形です。
先ほども触れたとおり、「il y a ~」の形で使うなら、後ろに複数形が来ても「a」のままです。
ただし時制は変化するので、過去形や未来形への変化はあり得ます。
「six」
「six」は、数字の「6」。
フランス語では、もちろんアラビア数字「1 2 3 …」が使われますが、アルファベットでの表記「un deux trois …」も結構使われます。
今の日本語では、縦書きの場合を除くと、あまり漢数字を使いませんが、フランス語のアルファベット表記は、日本語の漢数字表記よりも多いように思います。
「ans」
「ans」は「an」の複数形で、「年」を表します。
「an」は男性名詞です。
フランス語の落とし穴とは?
冒頭で、「il y a six ans.」はフレーズの一部だとお伝えしました。
動詞の「a」が現在形なので、もちろん「il y a six ans.」は現在形なのですが、残りの部分は過去形なのです。
フランス語を始めたばかりの頃、こうしたフレーズを見ると「なんで?」が先走ってしまい、まるで落とし穴にはまってしまったように、思考停止状態になったものです。
それでも何度か見ているうちに自分を納得させる方法が見つかったので、シェアしたいと思います。
「時間も存在」
それが今回のタイトルにもある、「時間も存在」として理解することです。
「il y a ~」が「ある」または「いる」、「six ans」が「6年」なので、直訳すると「6年がある」になってしまいます。
でもこの「6年」を期間として、つまり「6年間」とすれば、「6年間(という時間)がある」と捉えることができます。
現在と、対象となる過去の時間との間には「6年間(という時間)がある」とするなら、日本語として自然なのは「6年前」ということになります。
あらゆる存在を表せる表現
今回のフレーズは、「6年前のことである」などと訳されるはずですが、「il y a ~」の「~」の部分に「ネコ」が入れば「ネコがいる」、「本」が入れば「本がある」のように、本当によく使われる表現です。
また、人・動植物・モノにとどまらず、今回の「時間」の他にも使われることがあるうえ、時制以外は変化しないので、「il y a ~」の形で頭に入れておきましょう。
「フランス人って、ヘンな言い方するな~!」などと考えながら覚えると、インパクトがあって忘れにくくなり、おススメです!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント