サプライズにまつわる言葉
今回のフレーズには、予告なくパーティーをしたり、プレゼントをしたりする時の「サプライズ!」に当たる言葉の関連単語が含まれています。
フランス語で「サプライズ!」が言えるようになって、ついでに単語数も増やしましょう!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Tu as eu l’air très surpris d’abord, et puis tu as ri de toi-même.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第6章の始めにあります。
第6章の最初の会話部分の中にあるフレーズで、語り手の男性の説明部分です。
「tu as eu l’air très surpris d’abord」
「tu」は「きみ」、「as」は「avoir」の活用形(現在形)、「eu」は「avoir」の過去分詞です。
「as(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。
「l’air」は定冠詞単数男性形と、(人・モノの)「外観」「様子」「態度」などを表す男性名詞「air」が合わさったものです。
「avoir l’air +(形容詞)」の形で「~のように見える」という意味になります。
「très」は「とても」、「surpris」は形容詞で(人が)「驚いた」「不意打ちされた」、「d’abord」は「まず最初に」という意味です。
「et puis tu as ri de toi-même」
「et」は「そして」、「puis」は「次に」「それから」「その上」「さらに」など。
「tu」は「きみ」、「as」は「avoir」の活用形(現在形)、「ri」は「笑う」「楽しむ」などの意味の「rire」の過去分詞です。
なのでここでも「as(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。
ただしこの「rire」は「rire + de ~」という形で「~をバカにする」という意味になっています。
「toi」は「きみ」ですが、「tu」の強勢形と言われる形です。
なおここでの「même」は形容詞で、「(名詞または代名詞)+ même」という使い方です。
「まさにそのもの」「~自身」という意味で、特に代名詞をつける場合には強勢形になり、ハイフンでつなぐことで「~自身」になります。
ここでは「toi-même(きみ自身)」で、他にも「moi-même(私自身)」などがあります。
背景を見てみると
男性は、星での王子さまの唯一の気晴らしは日没を眺めることだったことに気づきました。
「日没を見に行こう」という王子さまに、男性は「(日没まではまだ時間があるから)待たなきゃ」と答えます。
すると一瞬、王子さまは男性が何を言っているのかがわからなくなってしまうのですが、すぐに我に返って理由を打ち明けます。
今回のフレーズは、王子さまが混乱した様子とその直後を、男性が説明している部分です。
「空気」は持っていない!
まず、今回のフレーズの内容を確認しておきます。
先ほどもご紹介した通り、このフレーズには2つの節ががありますが、主語は両方とも「tu(きみ)」です。
「tu as eu l’air très surpris d’abord」の部分では、「eu l’air」が「avoir l’air +(形容詞)」の形で「~のように見える」という意味で、さらに過去表現なので、「最初きみはとても驚いた様子だった」ということになります。
ちなみに、「空気」という意味の「air」もありますが、別単語です。
王子さまが「空気を持っていた」わけではありません!
「バカにした」わけではない!
そして後半部分の「et puis tu as ri de toi-même」では、「rire + de ~」で「~をバカにする」、「toi-même(きみ自身)」があり、ここでも過去表現なので、辞書通りに解釈するなら「きみ自身をバカにした」だと考えられます。
ただし「rire + de ~」は必ずしも「~をバカにする」という意味にはなりません。
もちろん、この使い方で自虐を表す場合もあるのですが、ここでは「きみ(王子さま)が自分自身に対して笑ってしまった」程度の意味です。
つまりこの後半部分は「そしてそれから君は、自らに対して笑った」ということになります。
フランス語の「サプライズ!」
さて冒頭で触れた通り、フランス語の「サプライズ!」とその関連単語をまとめます。
暗い部屋にパッと明かりがつくと、そこはみんなが待つパーティー会場だった、などという時に言われる「サプライズ!」に当たるフランス語は、「Surprise !」です。
この「サプライズ」という言葉、聞いたり使ったりしていても、あまり自覚はないかもしれませんが、名詞です。
フランス語の「surprise」は女性名詞で、「意外な驚き」「予期せぬ出来事/モノ」「思いがけない贈り物/喜び」などの意味です。
元は動詞
今回のフレーズにある「surpris」は、元は動詞「surprendre」の過去分詞です。
「surprendre」という動詞は、「上から」を意味する「sur」と、「取る」「とらえる」などの意味の「prendre」が合わさってできたもの、つまり「不意をつく」というのが元の意味です。
そこから「(人の)不意をおそう」「(隠されたものを)あばき出す」「(人を)驚かす」などの意味になりました。
そこで形容詞の「surpris」は(人が)「驚いた」「不意打ちされた」を意味します。
なお、形容詞なので女性形があり、先ほどの女性名詞と同じ「surprise」になります。
日本語との違い
最後に、日本語の「サプライズ」とフランス語の「surprise」の違いについても触れておきます。
先ほどフランス語の「surprise」は女性名詞で、「意外な驚き」「予期せぬ出来事/モノ」「思いがけない贈り物/喜び」などの意味だとご紹介しました。
この中で日本語の「サプライズ」に相当するのは、3つ目の「思いがけない贈り物/喜び」だけですよね?
一見すると、他の2つ「意外な驚き」「予期せぬ出来事/モノ」も、大きくは変わらないように思えるかもしれませんが、フランス語の「surprise」には、悪い意味での「驚き」も含まれるというのが、日本語の「サプライズ」との違いです。
つまり、日本語の「サプライズ」は「嬉しい驚き」のみ。
フランス語の「surprise」には、「嬉しい驚き」だけでなく「イヤな驚き」も含まれるということです。
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