29 言ってみたくなるかも! Qu’est-ce que c’est que cette chose-là ?

その他(王子さま)

思わず発音してみたくなる? 

似たような音ばかりが並ぶ今回のフレーズ。 

王子さまのセリフですが、少々長めなのに、言いたいことは単純です。 

大人のマネをした子どもが、得意げに言っていてもおかしくない表現で、個人的にも何度か、これを言っている子どもを目撃しています。 

これを言いたくなるのは、このフレーズの音の響きなのか、難しそうなことを言っている自分に酔っているのか…。 

おそらく、両方でしょうね! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の「Qu’est-ce que c’est que cette chose-là ?」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第3章の始めにあります。 

第3章では、王子さまと語り手の男性の会話が続きますが、この会話部分の先頭にあるのが、今回のフレーズで、王子さまのセリフです。 

「qu’est-ce que c’est」 

「qu’est-ce que」は1つの単語として扱います。 

意味は「何」です。 

前回(第28回)初めてご紹介した通り、「Qu’est-ce que c’est ?(これ/それ/あれは何ですか?)」が非常によく使われます。 

「c’est」 

「c’est」は何度も扱っているので、要点だけまとめます。 

  • 意味は「これ(それ・あれ)は~です」。 
  • 「ce」と「est」の2つの単語で構成され、「ce + est = c’est」ということ。 
  • 「ce」は「これ(それ・あれ)」を意味し、「est」は英語の be動詞に相当。 

「que」 

「que」には、おもに4つの使い方があります。 

  1. 関係代名詞 
  2. 疑問代名詞「何を」 
  3. 感嘆の副詞「なんて」 
  4. 接続詞 

2の疑問代名詞と3の感嘆の副詞はクエスチョンマーク「?」やビックリマーク「!」がついていて、すぐにわかるのですが、1の関係代名詞と4の接続詞がやっかいです。 

関係代名詞の「que」 

関係代名詞の「que」の場合は、「que」の後の部分に「節」と呼ばれる、小さなフレーズがあります。 

主語になる名詞と、述語になる動詞です。 

ただし、関係代名詞の「que」の場合は、節に足りない部分があり、その足りない部分は節の前にあります。 

少しややこしいですが、後でまた深掘りしますね。 

接続詞の「que」 

接続詞の「que」の場合も、関係代名詞の「que」と同じく、「que」の後の部分に小さなフレーズの節があります。 

ただし、接続詞の「que」なら、節の中の小さなフレーズは、一つの文章として完結していて、足りないものはないのです。 

これが関係代名詞の「que」との大きな違いです。  

「cette」 

第3回以降、何度もご紹介している「ce」ですが、実は「ce」というのは男性形単数で、他の形もあるのです。 

「cette」は、「ce」の女性形単数です。 

意味はすべて「これ(それ・あれ)」ですが、あまり距離による区別はしません。 

「chose」 

「chose」は女性名詞で、「モノ」「コト」を表します。 

ここでは、「chose」が女性名詞単数なので、女性形単数の「cette」が使われています。 

「là」 

「là」も第17回でご紹介済みですので、まとめます。 

  • 「そこ」「あそこ」を意味し、離れた場所を表す。 
  • 「ここ」を意味する「ici」よりも離れた場所を指す。 
  • 「là」には「a」にアクセントがつき、定冠詞の「la」とは異なる。 

言葉のかたまりに注目すると 

「Qu’est-ce que c’est que cette chose-là ?」を言葉のかたまりにして、理解を助けます。 

まず、「Qu’est-ce que c’est」というのは決まり文句なので、ここまでで1つ。 

そして「que cette chose-là ?」を見てみると、「que」の後の節がフレーズとしては不完全なので、「que」は関係代名詞だと分かります。 

実は、その前の「que」、つまり「Qu’est-ce que c’est」の太字の部分も、後ろにある「c’est」が、それだけでは何を言っているのかがわからない、不完全な節なので、関係代名詞です。 

まとめると 

つまり「Qu’est-ce que c’est que cette chose-là ?」というフレーズを整理すると、次のようになります。 

  1. 「Qu’est-ce que c’est」:これ/それ/あれは何ですか 
  2. 「cette chose-là」:その、そこ(にある)もの 

2の節が1にかかるので、直訳すると「その、そこ(にある)もの、それは何ですか?」ということになります。 

日本語に意訳すると… 

ここで王子さまが知りたがっているのは、語り手の男性が修理している飛行機についてです。 

王子さまは、飛行機というものを見たことも聞いたこともない状態だったのです。 

そしてこのセリフになるのですが、直訳したものは、日本語としてはあまりに不自然です。 

王子さまが言いたいのは、要するに「それって何?」ということですよね? 

けれど冒頭でお伝えした通り、ここでの王子さまは、難しそうなことを言っている自分に酔っているかのようです。 

「それって何?」は、日本語としては自然だけど、あまりに簡単すぎて、自分に酔うことはできません。 

フランス語のフレーズの響きもいいですし、ぜひあなたも、実際に発音してみてくださいね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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