284 奥が深い?「que」の用法! d’autres dessins aussi grandioses que le dessin des baobabs ?

その他(王子さま)

まだあった?「que」の用法

「que」については、このシリーズの第64回で取り上げています。 

でも今回扱う「que」は、そこでお伝えした使い方に当てはまりません。 

長いフレーズの読解のコツとともにご紹介しますね! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「d’autres dessins aussi grandioses que le dessin des baobabs ?」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第5章の終わりにあります。 

第5章最後の段落にあるフレーズの一部で、語り手の男性の説明です。 

「d’autres dessins aussi grandioses」

「d’autres」は前置詞の「de」の省略形「d’」と、「別の」「他の」を意味する「autre」の複数形「autres」が合わさったものです。 

「dessins」は男性名詞「dessin」の複数形で「デッサン」「絵」「地図」などの意味です。 

「aussi」は「~もまた」「~も」「やはり」、「grandioses」は(風景・作品などが)「雄大な」「壮大な」「堂々たる」を意味する形容詞「grandiose」の複数形です。 

「que le dessin des baobabs」

「que」は後述します。 

「le」は定冠詞単数男性形、「dessin」は「des」は男性名詞で「デッサン」「絵」「地図」、「des」は前置詞「de」と定冠詞複数の「les」が合わさったもの、「baobabs」は「バオバブ」という意味の男性名詞「baobab」の複数形です。 

背景を見てみると

バオバブは、早期の対処を怠ると巨大化してしまい、最悪の場合には星の滅亡につながります。 

王子さまは、たった3本のバオバブの幼木を放置してしまったせいで、成長したバオバブにおおい尽くされてしまった星を知っていました。 

語り手の男性は王子さまの話しをもとに、バオバブにおおい尽くされてしまった星の絵を描きましたが、今回のフレーズは、その絵を見た読者が不思議に思うであろう内容を、男性自身が代わりに述べたものです。 

今回扱うのは長いフレーズの後半部分です。 

フレーズの全体は: 

Pourquoi n’y a-t-il pas, dans ce livre, d’autres dessins aussi grandioses que le dessin des baobabs ? 

「que」について

「que」にはおもに4つの使い方があり、関係代名詞/疑問代名詞/感嘆の副詞/接続詞です。 

疑問代名詞と感嘆の副詞なら、クエスチョンマーク「?」やビックリマーク「!」がついています。 

これらがついていない場合は、関係代名詞か接続詞かを判断します。 

関係代名詞なら、「que」の後の部分にある「節(小さなフレーズ)」に足りない部分があり、その足りない部分は節の前にあります。 

接続詞なら、節の中の小さなフレーズは、一つの文章として完結しています。 

ここでの「que」

今回のフレーズにはクエスチョンマーク「?」がついているのですが、ここでの「que」は疑問代名詞ではありません。 

というのも、このフレーズの前半(このシリーズの第283回で扱った部分)には疑問詞の「pourquoi」があるのです。 

そしてビックリマーク「!」もついていないので、関係代名詞か接続詞を疑うのですが、「que」の後にあるのは「le dessin des baobabs(バオバブの絵)」という名詞のみ。 

そもそも、節と呼ばれるような、小さなフレーズにさえなっていないのです。  

「que」の正体

つまりここでは、「que」が単独で使われていないということがわかります。 

そこで疑うのが熟語ということに。 

実は、「aussi +(形容詞/副詞)+ que ~」という熟語があり、ここでの「que」はその一部です。 

意味は「~と同様に」「~と同程度に」です。 

フレーズの全体

これを踏まえて、今回扱う部分である「d’autres dessins aussi grandioses que le dessin des baobabs」を考えてみます。 

「que」の後の「le dessin des baobabs」が「バオバブの絵」なので、この部分の全体は「バオバブの絵と同じぐらい壮大な絵」ということになります。 

そして前半にある「n’y a-t-il pas」が「il y a ~(~がある/いる)」の否定形で、疑問文のために倒置されているので、前半部分の「Pourquoi n’y a-t-il pas, dans ce livre」は「なぜこの本には~がないの?」ということになります。 

長文読解のために

なおフレーズの全体を考える時は丸ごと和訳するのではなく、このように切りのよいところを見つけながら、意味を把握するようにすることをおススメします。 

フレーズの最初から順番に意味を考えていくのです。 

今回のフレーズなら、前半の「Pourquoi n’y a-t-il pas, dans ce livre」を「なぜこの本には~がないの?」と捉えてから、後半の「d’autres dessins aussi grandioses que le dessin des baobabs」を「バオバブの絵と同じぐらい壮大な絵」と理解します。 

もちろん和訳するなら、「なぜこの本にはバオバブの絵と同じぐらい壮大な絵がないの?」なのですが、これよりも長く複雑なフレーズに出会っても、すぐに理解できるように、訓練しておくのです。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

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