247 指示代名詞に見るフランス語の論理 que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert, à l’âge de six ans !

名詞

フランス語の論理とは?

長いフレーズを3回に分けてご紹介していますが、今回が最終回です。 

今回扱う部分には指示代名詞2回使われていて、内容を考えていきます。 

すると、論理的であると言われる、フランス語らしい姿が見えてきました。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert, à l’âge de six ans !」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の終わりにあります。 

第4章最後の段落の9つ目にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

今回扱うのは、長いフレーズの終わりの部分です。 

「que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert」

「que」と「celle」については、後述します。 

「d’un」は前置詞「de」の省略形「d’」と不定冠詞単数男性形の「un」が合わさったものです。 

「boa」は男性名詞で「ボア(ヘビの種類の名前)」、「fermé」は形容詞で「閉じられた」「閉められた」の意味です。 

「d’un boa fermé」で、「閉じられたボアヘビの」ということになります。 

「et」は「そして」ですが、その後は同じ語句の繰り返しになります。 

最後の「ouvert」は形容詞で「開いた」「開けられた」の意味です。 

「d’un boa ouvert」で、「開けられたボアヘビの」ということになります。 

「à l’âge de six ans」

「à」は前置詞、「l’âge」は定冠詞単数の省略形「l’」と「年齢」を意味する「âge」が合わさったものです。 

「six」は「(数字の)6」、「ans」は「(時間の単位としての~)年」「~歳」という意味の「an」の複数形です。 

「à l’âge de ~ an(s)」で、「~歳で」という意味なので、「à l’âge de six ans」は「6歳で」ということです。 

背景を見てみると

子どもの頃から大人に対して批判的な語り手の男性が、語ること自体が悲しいお話しをあえてするのは、王子さまという友だちを忘れないため。 

鉛筆や色鉛筆を買いそろえた男性ですが、その大変さを長文で説明します。 

今回扱うのは、その長いフレーズの終わりの部分です。 

フレーズの全体は: 

「C’est dur de se remettre au dessin, à mon âge, quand on n’a jamais fait d’autres tentatives que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert, à l’âge de six ans !」 

始めの部分は、このシリーズの第245回で、中ほどの部分は、このシリーズの第246回でご紹介しています。 

「que」

ここでの「que」は、実は今回扱う部分より前にある、他の語句との組み合わせの一部です。 

それは長いフレーズの中ほど(第246回)にある「on n’a jamais fait」の部分です。 

この中の「n’a」は「ne」の省略形「n’」と「a」が合わさったものとご紹介しました。 

組み合わせは、「ne ~ jamais que ~」で「~の他には決して~ない」という意味になります。 

つまり今回扱う部分は、「ne ~ jamais que ~」の「que ~」に当たります。 

なので、「~の他にはもはや~ない」という意味のうちの「~の他には」に相当するということです。 

なお、「ne ~ jamais que ~」という形をすぐに見つけられればいいのですが、それが難しくても、「否定語 + que」で制限を表すということを覚えておけば大丈夫です。 

詳細は第243回でご紹介していますので、参照してくださいね。 

「celle」

「celle」は指示代名詞の単数女性形です。 

4種類あるので、表にまとめます。 

 男性 女性 
単数 celui celle 
複数 ceux celles 
指示代名詞

指し示すものがない!?

先ほど「celle」は指示代名詞の単数女性形とご紹介しました。 

今回扱う部分には2回使われていて、どちらも単数女性形です。 

指示代名詞は「前述の人やモノを指す」言葉なので、それより前にある名詞に合わせて数や性が決まるのですが、この長いフレーズ全体を見ても、単数女性形の名詞はありません。 

「C’est dur de se remettre au dessin, à mon âge, quand on n’a jamais fait d’autres tentatives que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert, à l’âge de six ans !」 

内容からも検証

「dessin(絵)」と「âge(年齢)」は男性名詞の単数、「tentatives(試み)」は女性名詞ですが、複数形です。 

2つの指示代名詞「celle」には、それぞれ後ろに説明部分があります。 

「d’un boa fermé(閉じられたボアヘビの)」と「d’un boa ouvert(開けられたボアヘビの)」とあるので、その内容から、指し示しているものが絵だということはわかります。 

でも「dessin(絵)」は男性名詞の単数なのです。 

なぜ単数女性形?

そこで注目するのは「tentatives(試み)」の部分です。 

「tentatives(試み)」は女性名詞の複数ではありますが、よく見ると「autres tentatives(他の試み)」になっています。 

語り手の男性が言っている「試み」とは、彼が6歳の時に描いた2枚の絵のことですが、1枚の絵=1回の試みなのです。 

つまり、単数の「tentative(試み)」ごとに指し示しているので、単数女性形の「celle」が使われているということです。 

フレーズ全体の意味

では、振り返りながら全体の意味を考えます。 

「c’est dur de se remettre au dessin, à mon âge」で、「私の年齢で、絵に戻るのはつらい」 

「quand on n’a jamais fait d’autres tentatives」で、「決して他の試みをしなかった」 

「que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert, à l’âge de six ans !」で、「6歳の時に閉じられたボアヘビと開けられたボアヘビという(試み)」ということです。 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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