ズルいフレーズ?
よく見るし、よく聞くのが、今回のフレーズです。
ある意味、自己防衛であり、少々ズルいかもしれませんが、状況によってはとても役に立ちます。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「La réponse est bien simple :」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第5章の最後にあります。
第5章では、王子さまとの会話で語り手の男性が知った、王子さまの星のバオバブの木のことなどが語られます。
今回のフレーズは、第5章の最後にある、バオバブの木がとても印象的な絵の直前、終わりから3番目のフレーズです。
「la」
「la」については、すでに何度かお話ししているので、簡単にまとめます。
- 定冠詞女性単数形
- ある特定のものを指すときに使われる
「réponse」
「答え」を意味する女性名詞です。
「est」
英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称単数の活用形。
意味は「~です」に当たります。
ここでは「答え」を意味する女性名詞単数の「réponse」が主語なので、この活用形が使われています。
「bien」
「bien」は、形容詞「simple」にかかる副詞です。
「よく」「正しく」「非常に」「本当に」などの意味があります。
「simple」
「simple」は、形容詞で「シンプルな」「簡単な」「単純な」という意味です。
「réponse」が女性名詞ですが、「simple」は「e」で終わっているために変化しません。
印象的というより恐ろしい
第5章には王子さまの星を描いた3枚の絵がありますが、そのうちの2枚は印象的というより、恐ろしい絵です。
1枚はゾウが重なった絵ですが、これは王子さまの星が小さすぎるから、「ゾウの一行などがやってきたら、積み重なるしかない」と笑いながら言う、王子さまの言葉をもとに描かれたものでした。
要するに、あり得ないことなんですよね。
それに比べると、最後にある絵は、かなり恐ろしいです。
巨大化したバオバブの木に星がおおい尽くされています。
知らない単語を見つけたら
今回のフレーズは、このお話しの読者なら思うであろう、「なぜバオバブの絵以上に壮大な絵がないのか?」という質問に答えるための前置きです。
語り手の男性(つまり作者)からの答えは、「書いてみたけれどダメだった」なのですが、男性はすぐには答えないのです。
この男性はお話しの中でずっと言い訳がましいですよね。
大人たちのせいで絵をあきらめさせられたことなどを、本当にクドクドと言い続けているのですから。
それと同じように、答えの前に前置きをしているのです。
よくある手!
ただし、この「La réponse est bien simple :」という言い方は、フランス語ではよく使われています。
あまりにも単純な回答をする前に、相手に心の準備をさせる意図が透けて見えます。
「な~んだ、そんなことなの!?」と思われないように、前置きをして、相手にがっかりさせないようにしているわけです。
フレーズの終わり方
このフレーズの終わりはピリオドではなく、コロン(:)が打たれるのが普通です。
日本語なら「本当に簡単なことではありますが、」と文章を続けるところを、コロンで区切って2つのフレーズにしているのです。
この前置き、つまらない回答しかできない時には、とても便利です!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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