212 主語が2連続する不思議! Si je vous ai raconté ces détails sur l’astéroïde B 612 et si je vous ai confié son numéro, c’est à cause des grandes personnes.

動詞

主語が4つ!?

今回のフレーズには、主語になる人称代名詞が連続している部分が2回もあります。 

1つのフレーズになぜ主語が4つもあるのか、不思議に思いませんか? 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Si je vous ai raconté ces détails sur l’astéroïde B 612 et si je vous ai confié son numéro, c’est à cause des grandes personnes.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の中ほどにあります。 

第4章の3枚目の挿絵の直後にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

「et si je vous ai」 

今回のフレーズには重複する部分があるので、まずその部分をご紹介します。 

「et」は「そして」、「si」は「もしも」、「je」は「わたし」、「vous」は「あなた」や「あなたたち」、「ai」は「avoir」の活用形(現在形)です。 

「raconté ces détails sur l’astéroïde B 612」

「raconté」は「語る」「話す」という意味の「raconter」の過去分詞です。 

「ces」は「ce(これ/それ/あれ)」の複数形です。 

「ce」や「ces」などは、次に名詞が来ると「この(その・あの)」という意味になります。 

「détails」は男性名詞で「詳細」や「細部」などとという意味の「détail」の複数形です。 

ここでの「sur」は「~について」、「l’astéroïde」は定冠詞省略形の「l’」と、男性名詞で「小惑星」という意味の「astéroïde」が合わさったものです。 

ここでは「astéroïde」が母音から始まる単語なので定冠詞が「l’」になっていますが、「astéroïde」は男性名詞で単数なので、元の形は「le」です。 

「B 612」は、架空の小惑星の名前です。 

「612」の読み方は、「six cent douze」です。 

「confié son numéro」 

「confié」は「~に~を預ける」「~に~を打ち明ける」という意味の「confier」の過去分詞です。 

「son」は「彼の」「それの」、「numéro」は男性名詞で「番号」です。 

「c’est à cause des grandes personnes」 

「c’est」は「ce」と「être」の活用形(現在形)「est」が合わさったものです。 

「à cause de ~」は「~が原因で」という意味ですが、次の「grandes personnes」が複数形なので、「de」の代わりに「des」になっています。 

「grande personne」は「大人」という意味です。 

背景を見てみると 

今回のフレーズに先立って語り手の男性は、王子さまの星だと考える、B612という小惑星の発見の様子について長く語っています。 

この小惑星はトルコ人学者によって発見されたものの、学者の服装のせいで学会での発表が受け入れられなかったという経緯のある、いわくつきの星でした。 

人称代名詞が連続する理由 

さてタイトルや冒頭で触れた通り、今回のフレーズには「je vous」という部分が2回あるので、その理由をご説明します。 

「je」は1人称代名詞単数で「わたし」、「vous」は2人称代名詞単数または複数で「あなた」や「あなたたち」です。 

ただし「vous」の単数形については、単数・複数で変化が変わるわけではなく、特に分ける必要もないので、ここでは2人称複数として扱います。 

ではここで、人称代名詞の表を見てください。 

「je」は主語 

1人称単数の「je」は主語にしかならないのですが、2人称複数の「vous」は、主語・直接目的・間接目的・強勢形の全ての形が一緒です。 

つまり今回のフレーズの主語は「je(わたし)」だということです。 

2回登場していますが、2回とも「si(もしも)」で導かれた節なので、「もしも私が~、もしも私が~、」という使い方です。 

「vous」は多様 

そして「vous」は2回とも、目的語としての使い方です。 

これが直接目的なのか間接目的なのかについては、2つ目の節の一部「je vous ai confié son numéro」がわかりやすいです。 

「confié」は「~に~を預ける」「~に~を打ち明ける」という意味の「confier」の過去分詞なので、「ai(avoir)」と一緒に使われて過去表現になっています。 

つまり「私はあなた(たち)にその番号を打ち明けた」という意味なので、「vous」は「あなたに」という意味であり、間接目的です。 

Marieに打ち明けるなら?

そしてなぜ目的語である「vous」が主語の「je」のすぐ後に来ているのかと言うと、それは、「目的語が代名詞になる場合は動詞の前に来る」というルールがあるからです。 

ということは、目的語が代名詞にならなければ、動詞の前には来ないのです。 

例えば、同じ動詞「confier」を使って「私はMarieにその番号を打ち明けた」と言うなら、「j’ai confié son numéro à Marie」になります。 

「raconter」と「parler」

なお、もう1つの節にある動詞「raconter」は「語る」「話す」という意味ですが、似た動詞にこのシリーズの第175回で扱った「parler」があります。 

「raconter」と「parler」は、どちらも「話す」という意味のある動詞ですが、少し意味が違うので、使い分けられるのが普通です。 

「parler」 

まず一般的な「話す」という意味で使われるのは、「parler」の方です。 

日常会話や人とのコミュニケーションで広く使われます。 

「何かを話す」「言葉を交わす」「意見を述べる」などの使い方には、すべて「parler」を使います。 

「raconter」 

それに対し、もっと具体的に「話しをする」という意味で使われるのが「raconter」です。 

物語やできごとなどを詳しく説明して伝えようとする行為には「raconter」を使います。 

そのため、「語る」と訳されることがあるのは「raconter」で、通常「parler」に「語る」という意味はありません。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました