3種類5つの単語の語順
今回のフレーズの着目ポイントは「過去表現の否定形」です。
過去表現・否定形とも、それぞれ2語ずつで構成されていますが、この計4語の語順には、やはりルールがあります。
そしてさらに修飾語も入っているので、ルールを覚えるよりはフレーズを丸ごと覚える方がラクかもしれません。
一石二鳥どころか、一石三鳥以上のフレーズです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ça n’a pas trop amélioré mon opinion.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第1章の終わりの方にあります。
3枚目の挿絵から3つ目の段落の最後のフレーズです。
「ça n’a pas trop amélioré」
「ça」は代名詞で、本来は「あれ/それ」を意味する「cela」の話し言葉です。
「n’a」は、否定を表す語「ne」の省略形「n’」と、「avoir」の活用形「a」が合わさったものです。
「pas」も否定を表す語で、「ne ~ pas」で「~ない」という意味になります。
「trop」は「あまりに」「非常に」の意味です。
「amélioré」は「(物事を)よりよくする」「改善する」などの意味の動詞「améliorer」の過去分詞です。
「a(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。
「mon opinion」
「mon」は所有形容詞単数男性形で、「私の」という意味です。
「opinion」は男性名詞で、「意見」「見解」「判断」「評価」などの意味です。
「opinion」が男性名詞なので、男性形の「mon」が使われています。
背景を見てみると
語り手の男性は、ませた子どもだったのかもしれません。
わずか6歳で画家になる夢をあきらめ、周囲の大人たちに批判的になったのですから。
それでも大人たちのアドバイスには従って他の勉強をし、飛行機の操縦士になりました。
今回のフレーズは、すでに大人になった男性が、同じ大人たちの中で生活し、彼らをよく観察した結果について述べている部分です。
複雑な語順ルール
さて冒頭でも触れたとおり、今回のフレーズには、過去表現の部分「a amélioré」と否定を表す部分「n'(ne) ~ pas」があり、さらに修飾語である「trop」がついています。
ルールとしては、「n'(ne) ~ pas」の「~」の部分に「avoir」が入ること、修飾語である「trop」は「pas」と過去分詞(ここでは「amélioré」)の間に入ることの2つです。
ただし、こうしたルールをまる覚えしても、実際には使いこなせないことの方が多いので、どうせ覚えるなら、今回のような短いフレーズをそのまま覚えて応用した方が安心です。
フレーズを整理しよう!
なお語順を気にするあまり、意味が分からなくなってしまっては困るので、整理しておきますね。
主語は「ça(あれ/それ)」、述語が「amélioré(よりよくする/改善する)」目的語が「mon opinion(私の意見/評価)」で過去表現の否定形です。
ここでの「ça」
ところで、「ça」は「あれ/それ」を意味しますが、今回のフレーズだけでは、「ça」が具体的に何を指すのかは分かりません。
これは文脈で判断することになります。
このフレーズの前の部分で、語り手の男性は成長後に「誠実な大人たちとの付き合いがたくさんあったこと」「大人たちの中で暮らしてきたこと」「大人たちを近くから観察してきたこと」について語っており、このすべてを指しています。
こうして大人たちをよく知ってからも、わずか6歳の時に感じた大人たちへの不信感、つまり「大人たちは物事の本質を見ていない」という評価は、あまり好転しなかったということですね!
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