「tout」に注意!
以前もお話ししているのですが、「tout」という単語には要注意です。
形容詞としてよく使われるものの、単数として使われる場合と、複数として使われる場合では、イメージがまったく異なります。
今回のフレーズは複数ですが、後半では単数バージョンの意味もご紹介しますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Toutes les étoiles sont fleuries.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第26章の中ほどにあります。
第26章の1枚目と2枚目の挿絵のほぼ中間に、語り手の男性が「Bien sûr…(もちろん…)」と3回繰り返す場面があるのですが、1回目の「Bien sûr…(もちろん…)」の後にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「toutes les étoiles」
「toutes les étoiles」は、「(そこにある複数の)星すべて」という意味です。
後ほど深掘りしますが、ここでの「toutes」は、「~の全体」「すべての~」を意味する形容詞「tout」の複数・女性形です。
「les」は、定冠詞複数形です。
「étoiles」は、「星」を意味する女性名詞「étoile」の複数形です。
「sont fleuries」
「sont」は、動詞êtreの3人称複数形です。
「fleuries」は、「花が咲く」「開花する」という意味の動詞「fleurir」の過去分詞「fleuri」が形容詞として使われ、複数・女性形になったものです。
「花の咲いた」「花で飾った」などの意味があります。
背景を見てみると
語り手の男性との別れを前にして、王子さまの「目に見えない大事なモノ」の説明が続きます。
その例を挙げる場面で王子さまが真っ先に言ったのは、やはり大切なバラの花のことでした。
「もしもある星に大事な花があったなら、心が温まって、夜には空を眺めるだろう」と言い、今回のフレーズになるのです。
たった1本の花のお陰で、夜空の星すべてに花が咲いたかのような気持ちになれるということですね。
形容詞の「tout」
先ほど、今回のフレーズにある「toutes」は形容詞だとご紹介しました。
「tout」に関しては、第62回で他の品詞も含めてご紹介しているので、詳細はそちらを参照してください。
今回は形容詞の「tout」について、まとめます。
- 意味は「~の全体」「すべての~」
- 単数/複数の違いで、かなり意味に差が出る
- 性・数の変化がある
形容詞の用例
- 【単数男性形】tout le livre:1冊の本すべて
- 【複数男性形】tous les livres:そこにある複数の本すべて
- 【単数女性形】toute la brioche:ブリオッシュ丸ごと1個
- 【複数女性形】toutes les brioches:そこにある複数のブリオッシュすべて
つまり、単数形なら「1つ丸ごと」、複数形なら「そこにあるすべて」ということです。
星なら…
つまり、形容詞の「tout」が単数形なら「1つ丸ごと」、複数形なら「そこにあるすべて」ということです。
今回のフレーズの「étoiles」は女性名詞複数形なので、「toutes」が使われているということです。
では、このフレーズが単数形「étoile」だったら、どういう意味になるのでしょうか?
フレーズは「Toute l’étoile est fleurie.」になり、花が咲き乱れているのは、1つの星のみということになります。
複数なら空にあるすべての星、単数だと1つの星丸ごと、ということです。
単数にするとすべてが変化
なお今回のフレーズを単数形にする場合は、すべての単語が変化します。
- toutes → toute
- les → l’
- étoiles → étoile
- sont → est
- fleuries → fleurie
特に定冠詞の「les」を「la」にしてしまいがちです。
次の単語「étoile」が母音から始まっているせいで、省略形の「l’」になりますので、注意してくださいね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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