128 定冠詞の意味 C’est comme pour la fleur. C’est comme pour l’eau.

その他(王子さま)

わかりにくい冠詞 

今回のフレーズにある名詞には、それぞれ定冠詞がついています。 

日本語には存在しないので、冠詞をつけることは意識していても、定冠詞をつけるべきなのか、不定冠詞をつけるべきなのかで、迷うこともあるのでは? 

今回のフレーズの定冠詞は、なぜ不定冠詞ではないのかを深掘りしていきます。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「C’est comme pour la fleur.」と「C’est comme pour l’eau.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第26章の中ほどにあります。 

第26章の1枚目と2枚目の挿絵のほぼ中間に、語り手の男性が「Bien sûr…(もちろん…)」と3回繰り返す場面があるのですが、その前後にあるフレーズで、どちらも王子さまのセリフです。 

「c’est」 

「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。 

意味は「これ(それ・あれ)は~です。」 

「comme」 

「感動のcomme」「比較のcomme」としてご紹介済みですが、ここでは「比較のcomme」で、「~のように」「~のような」という意味です。 

「pour」 

「pour」は前置詞で、いろいろな意味を持つのですが、「~のために」「~の理由で」「~にとっては」などが代表的です。 

「la fleur」 

「la」は、定冠詞単数女性形です。 

「fleur」は女性名詞で、「花」を意味します。  

「l’eau」 

「l’」は、定冠詞単数形の省略形です。 

次の「eau」が母音から始まっているので、この形が使われています。 

「eau」は女性名詞で、「水」を意味します。  

背景を見てみると 

別れの時が近づいても現実を受け止めたくない男性は、まるで「ウソだと言ってくれ!」とばかりに王子さまに詰め寄ってしまいます。 

でも王子さまは男性の問いに答えることはせず、「大事なものは目に見えない」と言い、その例を挙げる場面で、今回のフレーズになるのです。 

「la fleur」と「l’eau」 

この「目に見えない大事なモノ」こそ、今回のフレーズで語られている「la fleur(花)」と「l’eau(水)」です。 

この花と水にはそれぞれ定冠詞がついているので、「特定できる何か」だということがわかります。 

ここでの花は「王子さまの星のバラの花」であり、水は「星の輝く砂漠を一晩中歩いて見つけた井戸水」です。 

「特別な」花と水 

王子さまは花に水をやり、風から守るためについ立てをしてやり、寒さから守るためにガラスの覆いをかけてやりました。 

そして男性は、夜の砂漠を一晩中歩くだけでなく、王子さまが眠った時には抱きかかえて歩き続け、王子さまには重すぎる井戸水をくみ上げ、その際には水の入った桶の重みで滑車の音がしていました。 

「目に見えないモノ」とは? 

「大事なものは目に見えない」と王子さまは言いますが、「la fleur(花)」と「l’eau(水)」自体は目に見えるものです。 

王子さまが言いたいのは、花のために費やした時間や労力であり、水を得るために費やした時間や労力でした。 

こうした背景を持っているからこそ、「la fleur(花)」と「l’eau(水)」には定冠詞がついているんですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました