「なんてこった!」
今回のフレーズは、日本語で言うなら「なんてこった!!」になる決まり文句にかなり近い表現です。
今日も街角で、「なんてこった! なんてこった!」と頭を抱えながら歩いているおじさんがいるはずです。
今回のフレーズと「なんてこった!」との違いも、説明しますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Quelle est cette histoire-là !」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第26章の始めの方にあります。
第26章の1枚目の挿絵の直前にある段落より3行前にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「quelle est」
「quelle」は「quel」の女性形・単数です。
今回のフレーズでは「!」がついているので、感嘆詞だということがわかります。
意味は「何という~!」です。
疑問詞の場合は「?」がつき、基本的な意味は「どんな」「何の」「どの」です。
「est」は、être動詞の3人称単数の活用形です。
「cette histoire-là」
「cette」は、「ce」の女性形単数です。
後ろに来るのが女性名詞で単数の「histoire」なので、「cette」が使われています。
ここでの「cette」は、「-là」を名詞の後につけて「この(その・あの)」という意味です。
「cette」や「ce」などは、後ろに名詞をつけるだけで「この(その・あの)」という意味になりますが、さらに「-là」をつけることで、「すでに話題になった既知の」というニュアンスが追加されます。
「histoire」は女性名詞で、「歴史」「話し」「できごと」などの意味です。
背景を見てみると
王子さまの話し相手が毒ヘビだと知った語り手の男性は、拳銃を取り出そうとしながらヘビを追いかけるのですが、ヘビは素早く砂に潜り込んでしまいます。
すっかり青ざめた王子さまを腕の中に受け止めはしたものの、男性は目の前で起きたできごとは受け止めきれず、今回のフレーズが口をついて出ます。
ここでの「-là」
先ほど、「-là」をつけることで、「すでに話題になった既知の」というニュアンスが追加されるとご紹介しました。
詳しい背景を知ると、この「既知のできごと」とは、「王子さまが毒ヘビと話しをしていた」ということになります。
そして今回のフレーズの直後、語り手の男性は続けて、「ヘビと話すなんて!」と言うのですが、王子さまは話題を変えてしまいます。
フランス語の「なんてこった!」
さて、冒頭で、今回のフレーズは「なんてこった!」によく似ているとご紹介しました。
今回のフレーズそのままでも、「なんてこった!」には近いのですが、「cette」と「-là」がついていることで、「話し相手がすでに知っている話し」に限定されてしまいます。
でも「Quelle histoire !」なら、そうした制約がなくなり、「なんてこった!」そのままの意味になります。
不満のバロメーターは?
なおこの表現、日本語でも「ああ、なんてこった! なんてこった!」のように、2回続けて言う人がいますよね?
理由はわかりませんが、フランス語でもそうなんです。
フランス語だと「Oh là là ! Quelle histoire ! Quelle histoire !」ですね。
この言い方は、老若男女問わず誰でも使いますが、口ぐせになっている人がたまにいて、私が知っているのは全員おじさんです(笑)。
政治や社会情勢などを嘆いて言っていることが多いのですが、感情がエスカレートすると、「Quelle histoire !」の回数はそのままで、なぜか「Oh là là ! 」のうちの「là」の回数だけが増えます。
基本形は先ほどの2回なのですが、4回バージョンと8回バージョンが存在します。
そしてこれも謎なのですが、他の回数によるバージョンはありません。
当然、8回バージョンの時は、かなりご不満な様子ですよ!
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