107 心こそが大切! Et ça, c’est triste !

その他(王子さま)

幸福や豊かさとは? 

今回のフレーズの対象は、おそらくは豊かに実っているだろうと思われる、小麦畑です。 

人の幸福や人生の豊かさは、自分の外にあるのではなく、実は自分の心の中にあるということを、わかりやすく具体的に教えてくれている中の一節です。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Et ça, c’est triste !」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第21章の前半にあります。 

2枚目の挿絵から6行目から、いくつものフレーズが連なる段落があるのですが、その中のうちの1つで、キツネのセリフです。 

「et」 

「et」は「そして」という意味です。 

「ça」 

「ça」は代名詞で、本来は「あれ/それ」を意味する「cela」の話し言葉です。 

「c’est」 

「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être動詞の活用形「est」が合わさった形です。 

意味は「これ(それ・あれ)は~です」。 

「triste」 

「triste」は形容詞で、「悲しんでいる」「さびしい」「悲しそうな」といった意味です。 

「e」で終わる形容詞なので、男性形・女性形とも発音は同じです。 

背景を見てみると 

キツネは王子さまに、縁結びについて話しています。 

退屈な日々の暮らしに飽きていたキツネは、始めは気乗りしない様子の王子さまに語りかけるのです。 

今回のフレーズでキツネが「triste(悲しい・さびしい)」と言った対象は、遠くに見える小麦畑が、自分にとって何の意味も持たないこと。 

肉食のキツネにとって、小麦は食べ物ではないので、意味も関心もないのは当然なのですが、キツネの言いたいのは、そこではないようです。 

辛抱強いキツネ 

ほんのしばらくの間だけ、一緒に遊んで気分を紛らわせたいだけの王子さまに、キツネは辛抱強く語りかけます。 

生きる喜び、人生で大切なのは何なのかなどといった、人として本質的に必要なことを、わかりやすく具体的に話すのです。 

キツネの観察 

このキツネは、王子さまとの縁を結ぶことで、自分のつまらない日常を豊かにしたいと思っています。 

砂漠に住んでいるにもかかわらず、キツネのそばには人間の暮らしもあるのですが、キツネの観察によると、人間たちにも暮らしを彩るような友人関係はありません。 

小麦畑の色と音 

でももし、キツネと王子さまの人間関係を構築することができれば、何も変わらないはずの小麦畑の色は、王子さまの髪の色をほうふつとさせ、相変わらず何の意味もないはずの、小麦の穂が風に揺られる時の音も、好きになるだろうと言っています。 

友だちがどんなに遠く離れていても、自分の心の持ちようで、どのようにも豊かになれる。 

人間として本質的に大事なことを王子さまに教え、そしてその教えをもとに、王子さまは大きく成長します。 

教えてくれたのは、砂漠に住んでいる、耳の長い小さなキツネ。 

それまで王子さまが出会ったような、偉ぶった王様やインテリらしい地理学者などではないのが、痛快ですね! 

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