フランス人との付き合い
今回のタイトルから、「甘いものは脳科学的にもいいって言うから、食べて単語を覚えよう!」という内容を期待されているなら、ごめんなさい。
そういう種類の話しではありません。
甘いもの、つまり甘いお菓子などが、どのようにフランス人ネイティブとの付き合いに影響を及ぼすのか、というお話しです。
甘いもの好き
「あなたは甘いものがお好きですか?」
日本人相手なら、相手のことをあまり知らないうちは、お菓子をプレゼントする前にこのように聞いておかないと、失敗するかもしれません。
「辛党で、甘いものは苦手」と言う人が、いらっしゃいますからね。
でもフランス人相手に、甘いものが好きかどうかをたずねる必要はありません。
甘いものを食べないフランス人は、本当に少ないのです。
経験上ゼロではありませんが、「もともと好きではない」と言う人は極端に少数です。
ただし、甘いものを食べない人がいるのは、「食べたくない」のではなく「食べられない」場合がほとんどです。
その場合、糖尿病などの疾患によるものか、ダイエット目的に、ほぼ限られます。
一緒に食べよう!
病気や体形維持のために我慢している以外のフランス人は、ほぼ全員が甘いものを喜んで食べる人たちです。
つまり、プレゼントすると大喜びされる可能性大ということ。
少々親しくなったら、何か甘いものを持って行って一緒に食べたりすれば、相手との距離感がグッと縮まりますし、相手はこちらの想像以上に、あなたのことを覚えているものです。
食べながら「この本に書いてあるこのフレーズ、よくわからないんだけど…」などと言えば、喜んで教えてくれる可能性大です。
フランス語入門期なら
また、まだフランス語入門期で、自分からはほとんど話せない・話題が作れないという時期でも、お菓子を一緒に食べれば「これ、おいしいね!」という共有体験が生まれます。
その場合は、あらかじめお菓子の主要原材料のフランス語名を調べておくことをおススメします。
特に日本から持ってきたものや、自分で作ったものなら、相手に何が入っているのかを聞かれることが多いからです。
和菓子のプレゼント
なお、あくまでも経験上の肌感覚なので、統計上の数字を調べたわけではありませんが、フランス人には小麦アレルギーのせいでお菓子を食べられない人が、日本人よりは多いように思います。
そういう人に、日本の和菓子などをプレゼントすると、喜ばれるどころか、感動されます。
日本の和菓子には餅菓子やお煎餅など、お米でできたものが多いですが、フランスにもとからあるお菓子で小麦の入っていないものは、ほとんどないからです。
アレルギーに注意!
ただし、アレルギーにも強弱があります。
ほんの少しのアレルギー物質でも症状が出る人もいれば、主原料が小麦粉でなければ大丈夫という人も多いです。
私は念のため、どんな人にも食物アレルギーがないかどうかを確認してからプレゼントするようにしています。
アレルギー以外の注意点
そしてアレルギー以外の注意点として、多くのフランス人とって難しい食材があります。
それは甘い小豆、あんこです。
フランス人には「豆、イコール、しょっぱく煮たもの」という刷り込みがあるので、「甘い豆なんて、ありえない」と感じる人が少なくないのです。
でも、アニメでどら焼きやお団子などを見て育った人たちの中には、食べる前から憧れていた人もいますし、そもそも「甘い豆」に拒否反応のない人もいます。
餅菓子自体は、「mochi」が日本語由来の外来語になりつつあり、商品化されるようになってきているぐらい受け入れられています。
ベジタリアン≠菜食主義?
また、甘いものに限らず、食べ物全般に言えることですが、フランス人のベジタリアンは増えています。
こちらもアレルギー同様経験上の肌感覚で、統計上の数字を調べたわけではありませんが、日本人よりも割合が多いと思います。
ただし、日本人がベジタリアンつまり菜食主義を公言するのとは、かなり違う場合があります。
私は友人や知り合いに何人も、自分はベジタリアンだという人がいるのですが、日本人が考える菜食主義者に当たる人は、一人もいません。
なぜなら、「私はベジタリアンだけど、魚は食べる」とか、「私はベジタリアンだけど、卵は食べる」などと言う人ばかりだからです。
中には、「魚も卵も食べないが、バターだけはやめられない」とか、「朝食のヨーグルトだけは…」などなど。
彼らは「動物の肉は食べない」だけで、菜食主義者ではないと思うのですが…。
なお、今までの知り合った中で3人だけ、「本物の菜食主義者」がいました。
彼らは全員、自分のことをベジタリアンとは言わず、「ヴィーガン」だと言います。
ベジタリアンやヴィーガンだと、卵やバターの入っているものは食べない場合があるので、食物アレルギーの有無と一緒に聞くようにしています。
甘いものがもたらすもの
アレルギー患者やベジタリアンに配慮するなど、面倒ではあるのですが、それでも甘いものを通して築ける人間関係は、やはり魅力的です。
先ほども触れたとおり、こちらのフランス語がカタコトであっても話題作りになりますし、相手が気持ちよく話してくれるので、その人のことをより良く知るきっかけになるのです。
彼らの話しを通して単語数が増えたり、表現の仕方の勉強になったりしますし、甘いものを食べながらリラックスしている時なら、こちらが相手の話しを遮って質問したりしても、気持ちよく答えてもらえる可能性が高いです。
手作りをためらっているなら
最後に、もしあなたがご自分でお菓子作りするかどうかを迷っているなら、ぜひ作ってプレゼントしてみてください。
前述の通り、アレルギーや食事制限などの有無は確認してからの方が無難ですが、ただ単に「お菓子作りがそれほど得意ではない」という理由だけなら、迷わず手作りをお勧めします。
もし作ったお菓子が最高の出来ではなくても、想像以上に喜ばれるはずです。
一般論ではありますが、「自分のために手作りしてくれた」というのは、個人主義社会に住む、寂しがり屋の多いフランス人にとって、心温まる嬉しいできごとだからです。
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