フランスのクリスマス
もうすぐ師走、12月ですね。
今回は、フランスのクリスマスの実態をご紹介します。
フランス人にとっては当たり前のことが日本で誤解されていたり、また、クリスマスに全く関心のないフランス人がいることは、あまり知られていないようです。
そしてクリスマスと言えば、やはりごちそうですよね?
フランスに長く暮らしていると、あまり意識することはないのですが、さすがにこの時期のスーパーの売り場を見ると、やはりここは美食の国なのだと、毎年思います。
二分されたクリスマス
「海外のクリスマスは、日本と違って家族で過ごす」と聞いたことがありますか?
キリスト教の影響が強いフランスでは、ほぼ本当です。
ただしフランス国籍を持つフランス人でも、イスラム教徒の移民一家などでは、クリスマスには全く関心がない人たちがいます。
彼らはごちそうを食べたり、プレゼントの交換をすることなどもなく、普通に過ごす人が多いです(イスラム教徒の行事は別にあり、その際にはもちろん、ごちそうを食べます)。
12月25日は祝日なので、仕事はお休みという人がほとんどです。
そしてほぼすべてのお店が閉まっているので、あまり外出する人はいないと思います。
それでも、彼らの感覚から言うと、普通の祝日と変わらないのです。
ただし移民一家でも、2世や3世以降のフランス生まれの人たちの中には、クリスマスを祝う人たちがいます。
誤解されているクリスマス
さてここからは、圧倒的多数の、クリスマスを特別な日として過ごす人たちについてご紹介します。
まず、よく誤解されているのですが、クリスマスは24日の日没から始まるということをご存じですか?
私自身もフランスに来るまで「24日はクリスマスイブ、25日がクリスマス」だと思っていました。
これも間違いではないのですが、厳密に言うと、クリスマスの開始時間(?)は、真夜中の0時ではなく、24日の日没なのです。
なので、クリスマスのごちそうを食べるのは、24日の夕食のみ。
25日の夕食時は、すでにクリスマスではないので、普通の食事をとります。
ツワモノが存在!
24日の夕食は、1年で1番気合の入ったごちそうが並びます。
この日のために、ヘタをすると2ヶ月前から悩む人もいます。
というのも、30人分のごちそうを1人で用意するという、ツワモノが存在するからです。
プロの料理人でもない、普通の主婦なのですが、「親戚一同が集まったから、20人分の料理を作った」などという話しは、毎年複数の人から聞きます。
私の知る限りで、その最高記録が、先ほどの30人分なのです。
そういう話しを聞くたびに、「うわあ、大変だったね!」「何をつくったの?」「よく頑張ったね!」と言うのが、毎回、新年の恒例になっています。
悩む担当者
さて、肝心の食事の内容ですが、定番と言えるようなごちそうは、あってないようなものです。
というのも、特に10人分以上を用意するような場合、親族内で複数の家庭が集まっているにもかかわらず、毎年同じ人が食事を担当していることがほとんどです。
やはり一家親族を仕切っている人、料理が得意な人が担当することが多いのです。
持ち回りで毎年担当者が変わる一族もいますが、いつも同じ人が作り続けている方が多いと思います。
こうした集まりは、毎年同じメンバーになることがほとんどなので、去年やおととしの料理と同じものをつくるのは、どうしてもはばかられることに。
2ヶ月前から悩むのも、納得ですよね?
食材には凝る!
なお食事の内容は、家庭ごとの予算の都合があるので、さまざまなのですが、やはり1年で1番のごちそうなので、食材に凝る人が多いです。
前菜・魚料理・肉料理・サラダとチーズ・デザートというのが、フランス料理のレストランのフルコースですが、これを家庭で、しかも20人分もやってのけるのですから、お見事としか言えません。
魚料理には、オマール海老やホタテ貝のような、高級シーフードも含まれていて、どちらかと言うと、こういうものが好まれます。
そして肉料理には、クリームを餌として与えられた特別な鶏肉やカモ肉、また、ここ何年かで日本語の外来語として定着した、ジビエ料理が多い印象です。
クリスマスの時期にフランスでよく見かけるジビエは、キジ・ダチョウ・シカ・イノシシなど。
さらに変わり種として、カンガルーやワニなども売られています。
また、トリュフをはじめとしたキノコに凝る場合もあります。
肉は普段から食べている鶏肉や仔牛肉でも、キノコで豪華にしたりするのです。
最近は菜食主義のベジタリアンやヴィーガンが増えているので、肉・魚を食べない人もいるのですが、「普段はベジタリアンだけど、クリスマスだけはみんなと同じものを食べる」という人もいます。
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