意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第40回目は、「クラシック」です。
日本語の「クラシック」
日本語の「クラシック」はフランス語由来の外来語です。
「クラシック」は、元は「クラシック音楽」が中心で意味が狭かった言葉です。
近年は 「クラシックカー」「クラシックホテル」「クラシックスタイル」などといった言い方がされるようになり、古典的・伝統的・上質・歴史を感じさせる雰囲気 を表す語として使われるようになりました。
とはいえ、どちらかというとマーケティング上で使われた言葉が広がっただけという状態です。
- クラシック①「クラシック音楽」
- クラシック②「古典的・伝統的・上質・歴史を感じさせる雰囲気」
フランス語の「classique」
フランス語の「classique」は、まず「古典的」という意味で使われます。
これは日本語の「クラシック音楽」にも共通する使い方ですが、フランス語の「classique」は音楽だけでなく、文学や芸術などにも使われます。
そして「定番・王道」や「伝統的・格式のある」という意味でも使われます。
これは日本語の「クラシックスタイル」や「クラシックホテル」にも通ずる使い方ですが、どちらかというと「昔からあるもの」という意味が強く、日本語のように「上質」というニュアンスはありません。
また話し言葉では、「典型的・よくある」という意味でも使われます。
フランス語の「classique」の使い方をまとめると、
- classique①「古典的(文学・音楽・芸術)」
- classique②「定番・王道」
- classique③「伝統的・格式のある」
- classique④「典型的・よくある(口語)」
ということになります。
いろいろな「classique」
「classique」の例文を挙げておきます。
- C’est une recette classique.
(定番レシピだ)
→ classique②「定番・王道」
- C’est un hôtel très classique.
(このホテルはとても伝統的だ)
→ classique③「伝統的・格式のある」
- C’est une erreur classique.
(よくある間違いだ)
→ classique④「典型的・よくある(口語)」
などがあります。
「クラシックな間違い」???
フランス語の「classique」から日本語の「クラシック」になったことで、かなり意味が狭まっています。
フランス語では古典的で歴史があるという他に、「よくあるもの」「ありがち」という意味で普通に使う言葉です。
ただし前述通り、日本で近年になって使われるようになった「クラシックスタイル」のような言い方は、マーケティング戦略の中で生まれたものです。
そのため、フランス語にはなかった「特別感」や「上質さ」を強調しています。
ですので、日本語の「クラシック」のつもりで、質のいいものなどといった肯定的なイメージを持っていると、フランス語の「classique」に触れてがっかりしてしまうことも!
それがよく表れているのが、最後の例文「C’est une erreur classique.(よくある間違いだ)」です。
これを直訳して「クラシックな間違い」にしてみると、ものすごい違和感ですよね!
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