意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第38回目は、「エッセイ」です。
日本語の「エッセイ」
日本語の「エッセイ」はフランス語由来の外来語です。
「エッセイ」は、「エッセイ集」「エッセイを書く」などのように「随筆」という意味で使われ、文学のジャンルを指します。
- エッセイ「随筆」
フランス語の「essai」
フランス語の「essai」も「随筆」という意味で使われ、文学のジャンルを指しますが、これは「essai」の持つ意味のごく一部です。
基本的に「essai」には、「試み」という中心的な意味があります。
そしてこれが機械や技術に関する「テスト」という意味でも使われています。
さらに科学や医学分野の「試験」という意味でも使われています。
この意味で代表的なのが「essai clinique(臨床試験)」です。
また少し意外なのが、ラグビーの「トライ〈得点〉)」の意味で使われることです。
もちろん、ラグビーは英語圏発祥のスポーツなので、フランス語に翻訳されたときに「トライ」として選ばれたのが「essai」だったわけです。
でも英語の「try」のもつ得点以外の意味でも、フランス語では「essai」が最良ということで選ばれています。
フランス語の「essai」の使い方をまとめると、
- essai①「随筆」
- essai②「試み」
- essai③「(機械・技術の)テスト」
- essai④「(科学・医学分野の)試験」
- essai⑤「(ラグビーの)トライ」
ということになります。
いろいろな「essai」
「essaii」の例文を挙げておきます。
- Je fais un essai.
(試してみる)
→ essai②「試み」
- J’ai écrit un essai.
(エッセイを書いた)
→ essai①「随筆」
- Il a marqué un essai.
(彼はトライを決めた)
→ essai⑤「(ラグビーの)トライ」
などがあります。
文脈が大切!
日本語の「エッセイ」は「随筆」という意味だけですが、前述通りフランス語の「essai」の基本的な意味は「試み」です。
そのため、2番目の例文「J’ai écrit un essai.」は、これだけを読むと「エッセイを書いた」という意味ではありますが、文脈によっては「試しに書いてみた」という意味にも取れます。
やはり「essai」には、「試み」「試しにやってみる」というニュアンスが強いのです。
そのため、外来語の「エッセイ」に引きずられて「essai」イコール「随筆」と覚えてしまうのは、誤解の元です。


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