意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第16回目は、「バレッタ」です。
日本語の「バレッタ」
「バレッタ」という外来語は、あまり知らないし使わない、という方もいらっしゃるかもしれません。
というのも、日本語の「バレッタ」はほぼ 「髪留め(ヘアアクセサリー)」専用 の意味に限定されているので、そもそも必要ないという方も多いからです。
- バレッタ①「髪留め(ヘアアクセサリー)」
フランス語の「barrette」
「バレッタ」の元になったフランス語「barrette」は、本来は「小さな棒」という意味です。
このブログ・ポッドキャストでは何度も扱ってきましたが、フランス語では、名詞の後ろに「-ette」とつけて「小さな〜」などの意味を加えることがあります。
「barrette」は、本来「棒」「横棒」を意味する「barre」に「-ette」をつけたものなので、「小さな棒」なのです。
そしてこれも「フランス語あるある」ですが、「barrette」の場合も、本来は「小さな棒」という意味ながら、ありとあらゆる「小さな棒状のモノ」を指すようになりました。
その中には日本語の「バレッタ」と同じ 「髪留め(ヘアアクセサリー)」という意味もありますが、それだけではありません。
例えば、小さな棒状のアクセサリーであれば、ヘアアクセサリーではなくても「barrette」と言いますし、半導体チップやメモリのモジュールなどの電子部品や、電源タップなどの日用品など、さまざまです。
「小さな棒状のモノ」なら、いろいろなモノの名前に使われています。
フランス語の「barrette」の使い方をまとめると、
- barrette①「髪留め(ヘアアクセサリー)」
- barrette②「小さな棒状のアクセサリー」
- barrette③「小さな棒状の電子部品の名前」
- barrette④「小さな棒状の日用品の名前」
ということになります。
いろいろな「barrette」
「barrette」の使用例を挙げておきます。
- Le militaire porte une barrette sur son uniforme.
(軍人は制服に勲章の略称をつけている)
→ barrette②「小さな棒状のアクセサリー」
- J’ai acheté une barrette de RAM pour mon ordinateur.
(パソコン用のメモリモジュールを買った)
→ barrette③「小さな棒状の電子部品の名前」
- Il branche son chargeur sur une barrette d’alimentation.
(彼は充電器を電源タップに差し込む)
→ barrette④「小さな棒状の日用品の名前」
などがあります。
「barrette de RAM (メモリモジュール)」「barrette d’alimentation(電源タップ)」のように、「barrette de ~」という形で、小さな棒状のモノの名前になっています。
「baguette」との違い
ところで、2025年8月20日の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語⑬バゲットという配信で、日本語の「バゲット」の元になったフランス語の「baguette」を扱いました。
日本語で「バゲット」と言えば「細長い棒状のパンの名前」に限定されますが、フランス語の「baguette」も、いろいろな「細長い棒状のモノ」を指す言葉です。
今回の「barrette」は「小さな棒状のモノ」、「baguette」は「細長い棒状のモノ」なので、混同されそうですが、棲み分けがされています。
- barrette = 「小さい(短い)棒」
→ 何かを留める・装飾する・部品として機能する小さな棒状のモノ
- baguette = 「細長い(比較的長い)棒」
→ 長さや細さが特徴的な棒状のモノ(パン・指揮棒・杖など)
ここにも「フランス語あるある」の「形状ファースト」が生きていますね!
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